「社員もネットカフェを利用しないときがある」 快活クラブの反省、渋谷新店舗に生かす(2/4 ページ)
インターネットカフェ最大手の「快活CLUB」を運営する快活フロンティアは7月11日、渋谷に「快活CLUB渋谷センター街店」をオープンした。「スキマ時間のKEY PLACE」がコンセプトの同店舗は、「ネットカフェは何となく入りづらい」という見えないハードルを打開したい狙いがあるという。新コンセプトでの出店に至るまでの経緯を、同社経営企画部の大城奈央氏に聞いた。
社員なのにネットカフェを利用しない
では、どのように方向転換したのか。ヒントはこれまでの快活CLUBにあった。快活CLUBの利用シーンを見直したところ、「空いた時間をつぶす」「余暇時間にリラックスする」など「くつろぐ」ために使われていることが分かった。ここで大城氏はあることに気付いた。自分たちが「くつろぎたい」と思った際、立ち寄るのはどこか。快活CLUBを運営する会社の社員であるにもかかわらず、カフェを選んでいるのだ。
くつろぎたい時に選ばれるカフェと、選ばれないネットカフェの差はどこにあるのだろうか。同社は20人ほどの調査チームを結成。渋谷の出店地近くのカフェ5店舗に張り付き、時間帯ごとの来客数やお客が何をしているのか、細かく調査した。
調査の結果分かったのは、お客がカフェでやっていることと、快活CLUBでやっていることはほとんど変わらないということだった。不特定多数が集まるカフェよりも、完全個室がある快活CLUBの方がゆっくりできる環境は整っているはず。にもかかわらず、時間を過ごす場所として選ばれないのはなぜか? 大城氏は「入りやすさがない」という仮説を立てた。
これまでの快活CLUBといえば、ビビットなオレンジ色の看板に、「コミック・インターネット・テレワーク・飲み放題カフェ・鍵付完全個室」といった宣伝文句がずらっと書かれていた。こうした外観は一目で快活CLUBと分かる効果がある一方、その雰囲気に押されて入りにくく感じる“謎の圧”を出していた。また、店内も機能性が第一と考え、おしゃれさやデザイン性についてはあまり重視してこなかった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
運動嫌いが企画した「ソフトクリームが食べられるジム」の甘くない戦略
フィットネスジム業界に、異色の新顔が現れた。インターネットカフェ最大手の「快活CLUB」が、店舗内にジムエリアの導入を進めている。なぜ、快活CLUBの店舗内にジムを作ろうと思ったのか? 勝算はどこにあるのか? 話を聞いた。
ネットカフェの天下統一! 快活CLUBが、倒産相次ぐ業界で“独り勝ち”したワケ
インターネットカフェ業界が、ピンチに陥っている。かつて2000億円を超えていた市場規模は約1000億円にまで減少、倒産する企業も少なくない。そんな中、“独り勝ち”しているのが快活フロンティアが展開する「快活CLUB」だ。沈みゆく業界の中で、成長を続けられる秘訣はどこにあるのか。常務取締役、中川和幸さんに話を聞いた。
“スーツ姿の客”がネットカフェに急増 カギは「PCなし席」と「レシートの工夫」
コロナ禍で夜間の利用者が激減し、インターネットカフェ業界は大きな打撃を受けた。そんな中、トップシェアを誇る「快活CLUB」では、昼にテレワーク利用客を取り込むことに成功、売り上げを復調させた。そのカギは「PCなし席」と「レシートの工夫」にあるという。どういうことかというと……。
快活CLUBは、セブンのようになるかもしれない 親会社のAOKIを追い越す日
AOKIHDが「スペースクリエイト自遊空間」を運営するランシステムと資本業務提携を締結し、6月8日付で連結子会社化する方針が発表された。実はこの2社、意外な前身を持ち、時代の変化による業態転換で今のかたちとなったことをご存じだろうか。




