なぜ、ビール会社が「飲みづらいグラス」を開発したのか あえて“逆行”には意味がある:週末に「へえ」な話(1/4 ページ)
クラフトビール大手のヤッホーブルーイングが“飲みづらいグラス”を発表して、話題になっている。通常のグラスと比べて、飲み切るのに3倍ほどの時間がかかるとか。なぜ、このようなグラスを開発したのかというと……。
ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ……。ビールを飲むときの様子を言葉にすると、こんな感じである。この表現に異を唱える人は少ないと思うが、ビールを飲むときにグラスから音が出る商品が登場した。「コポ、コポ、コポ……」である。
クラフトビール大手のヤッホーブルーイング(以下:ヤッホー、長野県軽井沢町)が“飲みづらいグラス”を発表し、話題になっているのだ。商品名は「ゆっくりビアグラス」。中央部分が細くくびれていて、「砂時計」をモチーフにしている。
価格は1個9800円で、販売数量は10個のみ。同社の公式通販サイトで7月16日〜8月16日まで受け付けていて、8月20日に当選結果を発表する。同社が運営するビアレストラン「YONA YONA BEER WORKS 新虎通り店」(東京都港区)、ビアバー「麦酒大学」(東京都中野区)で同グラスに注いだビールを提供している(いずれも期間限定)。
ビール会社とすれば、多くの人にたくさんのビールを飲んでもらいたいはずである。にもかかわらず、なぜ“逆行”するかのような飲みづらいグラスを開発したのか。同社のプレスリリースを見ると、大きな理由として2つを挙げている。
1つめは、厚生労働省の「飲酒ガイドライン」である。今年の2月、適切な飲酒量を知ってもらうために、飲酒リスクの数値などを公表した。ヤッホー社としても「適正飲酒」をテーマに、このグラスを使ってほしいという思いがあるようだ。
2つめは、調査の結果である。同社は20〜60代の男女に、飲酒ガイドラインのことを知っているかどうか質問したところ、21.0%にとどまった。その一方で、普段からお酒を飲んでいる人の35.2%は「飲酒量を減らしたい」と答えていて、適正な飲酒量のために「ゆっくり飲んでいる」人が15.5%いることが分かってきた。
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