コラム
なぜ、ビール会社が「飲みづらいグラス」を開発したのか あえて“逆行”には意味がある:週末に「へえ」な話(4/4 ページ)
クラフトビール大手のヤッホーブルーイングが“飲みづらいグラス”を発表して、話題になっている。通常のグラスと比べて、飲み切るのに3倍ほどの時間がかかるとか。なぜ、このようなグラスを開発したのかというと……。
適正飲酒を気にしている人がじわじわ
「ビールを飲み過ぎてしまう」「飲むスピードが速いのでなんとかしたい」――。飲みづらいグラスの申込者数を見ると、こうした悩みを抱えている人が多いように感じるが、実はその兆候は他の数字からもうかがえる。
ヤッホー社は「正気のサタン」というビールを発売していて、この商品の特徴はアルコールが0.7%であること。お酒が強い人は酒量が減るかもしれない。お酒が弱い人にとって、適正なアルコール度数なのかもしれない。正気のサタンはこうしたニーズをうまくとらえていて、直近の出荷量を見ると、計画の130%で推移しているという。
「ビール党というのは、キンキンに冷えたモノをグビグビ飲むものだ。男は黙って、〇〇〇〇ビール(←他社名なので自主規制)」といった人からすれば、ちょっと信じられないかもしれないが、「自分に合った量を飲みたい」「ゆっくり飲みたい」といった層はじわじわ増えているようだ。
あえて飲みづらくしたグラスが人気となれば、記事もあえて読みにくくすれば、読者が“ゆっくりと味わってくれる”かもしれない。原稿を書きながら、そんなことをつぶやいていたら、編集部のKさんから厳しい言葉が返ってきた。
「絶対に、読まれません!」――。
おしまい(涙)。
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