「半端な対策では命にかかわる」 山善の”プレミアム水冷服”がたちまち完売、現場のニーズとどう合致した?(1/2 ページ)
全国的に猛暑が続く中、山善が展開する水冷式の冷却服「ダイレクトクール」の売れ行きが好調だ。夏場の作業向けウェアは数多くあるが、差別化ポイントはどこにあるのか。「猛暑対策展」で取材した。
全国的に猛暑が続く中、山善が展開する水冷式の冷却服「ダイレクトクール」(価格はオープン)の売れ行きが好調だ。チューブを通して冷たい水を循環させることで身体を冷やす仕様となっており、企業からの発注も少なくないという。夏場の作業向けウェアは数多くあるが、差別化ポイントはどこにあるのか。開発に携わった、家庭機器事業部商品企画3部の俣野剛志氏に聞いた。
冷たい水が循環、3種類を展開
同社はダイレクトクールを2022年に発売。形状はベストに近く、肩の近くの内ポケットに入ったスイッチを押すと、張り巡らされたチューブの中を水が循環する。背中には凍らせた専用ボトル、もしくはペットボトルが入るようになっており、チューブを流れてきた水はこの部分を通ることで、継続的に冷やされるという仕組みだ。
当初は「一般仕様」と「プロ仕様」の2種類を展開。好評を受けて2024年から加わった「プレミアム仕様」は、太い血管が通っている首元と脇下の部分にもチューブが通る仕様となっている。試着してみたところ、首筋まで含めた上半身全体にチューブがしっかりと当たり、冷たさも確かに持続するのを感じられた。
ファン付きウェアの弱点をカバー
同社は夏場の作業向けウェアとして、2018年から「KAZEfit」シリーズも販売している。こちらは電動ファンによって外気を取り込み、汗が乾く時の気化熱で体を冷やすという商品だ。
しかし俣野氏によると、こうしたファン付きウェアにはいくつか弱点があるという。まず、あまりにも気温が高い環境では、熱された空気を取り込んでしまい、逆効果になってしまうという点だ。また、粉じんが舞っている環境では、ファンがこれらを服の内側に吸い込んでしまう危険もある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
建設現場からバイク、ゴルフまで...... 水冷式の冷却服、猛暑で人気じわり
業界ではバッテリー駆動のファンで冷やすファン式の商品が大半を占める中、タンクに入れた水を循環させる冷却服が「猛暑対策展」で多くの人の注目を集めた。「着ると涼しい」だけじゃない 空調付きウェア、猛暑で進化
猛暑を少しでも快適に過ごそうと、暑さ対策グッズは多様化が進んでいる。ネッククーラーや手持ち扇風機などが新しい定番商品になる中、着るタイプの暑さ対策グッズにも注目が集まっている。ビオレ「冷タオル」が好調 真夏の工場でも使われる「ひんやり力」、課題は?
花王が展開する「肌温度を下げる」冷却シートの売れ行きが好調だ。一般消費者だけでなく、工場や現場仕事など暑さが厳しい環境で働く人々からの支持も獲得している。その一方で、ある課題も見えてきた。