「キャンプブーム」は終わった アウトドア業界はどの市場に“種”をまけばいいのか:スピン経済の歩き方(2/7 ページ)
かつてキャンプブームで盛り上がっていたワークマンやスノーピークなどが苦戦している。アウトドア業界は今後「防災キャンプ」に力を入れるべきだと考えるが、なぜかというと……。
アウトドア業界が取るべき成長戦略とは
では、キャンプ需要が落ち着いてしまった今、アウトドア業界はどうすればいいのか。何年か先、次のキャンプブームが訪れるまでじっと待つという手もあるが、今のうちに新しい分野に「種」を蒔(ま)いておくという「攻めの成長戦略」もある。
実はアウトドア業界には、本人たちも気付いていない、すさまじいポテンシャルのあるブルーオーシャンが広がっているのだ。
それは「防災キャンプ」である。
ご存じない方もいらっしゃるだろうが、防災キャンプとは、災害時に必要なスキルや知識を、キャンプを通じて身に付けようという体験活動である。
これはもともと東日本大震災後の2012年、文部科学省が防災教育プログラムの一環として予算をつけた「防災キャンプ推進事業」が始まりだ。学校の体育館などに泊まり込んだ子どもや保護者、地域住民が避難生活の疑似体験をするというもので、それが事業終了後も一部の自治体などで定着して続けられていた。
それが近年のキャンプブームの高まりや熊本地震、能登半島沖地震など巨大災害が相次いだことを受けて注目を集めており、キャンプグッズを活用するなど、よりカジュアルに進化をして全国に普及しつつあるのだ。
例えば7月29〜30日、千葉県木更津市では廃校をリノベーションしたグランピング施設「ETOWA KISARAZU(エトワ木更津)」で防災キャンプのイベントが開催され、子どもからお年寄りまで災害時の避難を想定したキャンプを行った。
南海トラフ巨大地震に備える豊橋市伊古部町でも7月27〜28日、高校生から25歳までの若者が集まり「アオハル防災キャンプ」というイベントを実施した。
この防災キャンプ、今は自治体がメインとなって催されているが、今後は企業の社内イベントや研修、町内会や少年野球チームの親睦会などにも広がっていく見通しだ。南海トラフ沖地震や首都直下型地震などが想定されている中で、国も防災・減災の取り組みを呼びかけている。地域防災の要となる職場や地域社会で「防災キャンプ」が普及していくのは「既定路線」と言ってもいいだろう。
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