2015年7月27日以前の記事
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「キャンプブーム」は終わった アウトドア業界はどの市場に“種”をまけばいいのかスピン経済の歩き方(3/7 ページ)

かつてキャンプブームで盛り上がっていたワークマンやスノーピークなどが苦戦している。アウトドア業界は今後「防災キャンプ」に力を入れるべきだと考えるが、なぜかというと……。

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防災キャンプがビジネスチャンスになるワケ

 このように成長確実な防災キャンプ市場は、アウトドア業界にとっても新たなビジネスチャンスになることは間違いない。

 当たり前の話だが、アウトドアメーカーが出しているキャンプ用品やアウトドアギアは「大自然」の中での使用が前提となっている。しかし、これまで見たように防災キャンプは避難所である体育館や公園、住宅地などの「都市部」が舞台だ。

 つまり、今キャンプブームで普及しているキャンプ用品ではオーバースペックなのだ。そこで求められるのが、体育館などの避難所、家の近くの公園、車中泊など、被災者目線に合わせた「防災キャンプ用品」の開発だ。

 例えば、真冬に大地震が起きて体育館や学校に避難をした。いくらそこでスノーピークのたき火台や炭を持っていても、集団生活だと周囲に迷惑がかかるので使用できない。灯油ストーブは大きいので地震で逃げる際に持っていきにくい。

 では、そこでアウトドアメーカーが、防災リュックに入るくらい小さなカセットガスストーブや「豆炭あんか」(成形炭を入れる湯たんぽのような暖房器具)を開発していたらどうか。寒い体育館で雑魚寝を余儀なくされる被災者としては、かなり助かるのではないか。

 さらに、アウトドアメーカーの皆さんにぜひとも開発に力を入れていただきたいのが「路上泊」「車中泊」を意識した防災キャンプ用品である。

 能登半島沖地震のとき、避難した人々を「体育館に1カ月雑魚寝」にしていた防災体制が指摘されたが、実は首都直下型地震や南海トラフ沖地震が発生した際には、体育館で雑魚寝すらもできず、「野宿」を余儀なくされる人々が大量に出ることが分かっている。


震災が発生するといまだに「体育館で雑魚寝」スタイルが続く日本(画像はイメージ)

 『NHK 首都圏ナビ』の報道によると、被災後に首都圏で仮住まいが不足する数は最大105万6000戸に上るという。これは専修大学の佐藤慶一教授が首都直下型地震の被害を全壊や半壊、焼失と設定した都の被害想定などから独自に算出したものだ。

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