組織が最も恐れるべきリスクは「誤ったリーダーシップ」──どういうことか?
2024年に米国企業が直面する最大の人的リスクは、「非効率なリーダーシップ」であると、人事のプロフェッショナルと危機管理の担当者は考えている――そんなレポートが発表された。
2024年に米国企業が直面する最大の人的リスクは、「非効率なリーダーシップ」であると、人事のプロフェッショナルと危機管理の担当者は考えている――そんなレポートを、米Mercer社、Marsh社、Marsh McLennan社が5月23日に発表した。
最大のリスクは「非効率なリーダーシップ」
また、人事担当者と危機管理担当者は、不適切な報酬の決定や増加する医療・福利厚生費、サイバーセキュリティの知識不足、AIの誤った管理などの重大な人材リスクにも言及している。
「今日、組織が直面しているリスクの広さと深さは驚異的です」とMercer社の米国・カナダ地域の社長であるスーザン・ポッターは声明で述べている。「人材は組織にとって最も重要な資産ですが、適切な文化、方針、トレーニングがなければ、組織をリスクにさらすことにもなりかねない」
米国の人事・危機管理担当者1000人以上を対象とした調査では、リーダーたちは職場の非効率なリーダーシップに関連するいくつかの懸念を指摘している。約3分の1が、重要な人材に大きく依存し、後継者育成が不十分であることを懸念していると回答した。スキルに応じた人材の獲得、育成、配置を行う効果的な人材戦略があると答えたのは、わずか30%程度だった。
さらに、回答者の約35%が、効果的でないリーダーシップがネガティブな企業文化や職場環境、緊張感のないチーム力、不信感につながることを懸念していると答えている。
「リーダーは、リスクマネジメントの文化を構築するために、危機管理担当者と人事担当者が協力することを奨励すべき」とMarsh社の米国・カナダ地域の社長、ミッシェル・サーテインは述べている。「協働によって、ビジネス環境に内在する人的リスクをより的確に分析し、対処することができる」
非効率なリーダーシップは、他の主な人的リスクとも関連している可能性がある。例えば、米UKG Workforce Instituteの世論調査によると、上司が部下のメンタルヘルスに与える影響は、医師やセラピストよりも大きく、配偶者やパートナーと同じほどの大きな影響になり得るという。労働者はストレスが家庭生活、幸福、人間関係に悪影響を及ぼすと回答し、ほとんどの人が、メンタルヘルスの面でよりサポートを受けられるのであれば、給与を減らすこともいとわないと答えている。
米Perceptyxのレポートによると、残念なことに、従業員の約4分の1が、これまでで最悪の上司の下で働いていると答えている。従業員は、無反応、非協力的、無礼といった「最悪な上司」の特定の行動を指摘しており、これらはエンゲージメントや生産性の低下につながっている。
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