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お客が求める「おいしいコーヒー」神話 カフェ経営で見落としがちな“ほろ苦い現実”:スピン経済の歩き方(6/7 ページ)
2023年に倒産件数が過去最多となった喫茶店・カフェ。その背景には、「苦い現実」があった。多くの人が喫茶店・カフェに求めることとは……。
各地で誕生している「ニュー純喫茶」
分かりやすいのは8月10日、静岡県熱海市にオープンする観光複合施設「展望レトロ喫茶桃山館」だ。
1階には、「昭和レトロ」をコンセプトとして10円ゲームやカプセルトイなどゲームコーナーがあり、2階が純喫茶風の喫茶店になっている。こちらもコンセプト通りに、ナポリタン、クリームソーダとともに、昭和のレストランでは定番の「お子さまランチ」をボリューミーにした「大人のお子さまプレート」を提供する。しかも、屋上にはもはや絶滅してしまったデパートの屋上遊園地を再現しているという。
孫や子どもを連れていく中高年には「ああ、懐かしい、こんなのあったよ」となるし、Z世代の若者たちはドラマや映画でしか見たことない世界観なので新鮮だ。コーヒーの味よりも「エンタメ」と「癒し」にフォーカスを当てているというわけだ。
群馬県桐生市にも6月、昭和の純喫茶をモチーフにした「純喫茶ロビンソン桐生店」がオープンしている。こちらは「築地銀だこ」などを展開するホットランドの連結子会社・オールウェイ(東京都中央区)が始めた新業態だ。
当たり前の話だが、もともと昭和にあった「純喫茶」というジャンルは、大企業がチェーンでやっていたわけではない。それぞれのオーナーが「こういう感じなら高級だろ」とか「これがオレがやりたかった店なんだよ」といった感じの自由な発想で、独自の世界観を打ち出している。だから個性的なのだ。
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