2028年、街から書店が消える? “救世主”になるかもしれない「2つ」のビジネスモデル(1/6 ページ)
書店業界が深刻な危機に直面している。全国の自治体の4分の1以上で書店がゼロとなり、2028年には街から書店が消えるという予測さえある。そんな中、新たな書店モデルが登場した。
書店業界が深刻な危機に直面している。全国の自治体の4分の1以上で書店がゼロとなり、2028年には街から書店が消えるという予測さえある。そんな中、新たな書店モデルが登場した。これらの新しい取り組みは、苦境に立つ書店業界にどのような未来をもたらすのか。
書店業界の現状と課題
書店の消滅が加速している。出版文化産業振興財団(JPIC)の2024年3月時点の調査によると、全国の自治体の27.7%(482自治体)で書店が1つもない「無書店」状態となっている。
1書店以下の自治体の割合は47.4%(825自治体)に達し、全国の約半数の自治体で、書店がないか1軒のみという深刻な状況だ。
背景には、ネット通販や電子書籍の普及、人口減少などの複合的な要因がある。しかし、より根本的な問題として、書店経営の難しさが挙げられる。人件費や家賃などの経費は増加し続けており、書店の粗利率は高くない。
さらに、出版業界全体の縮小も深刻だ。紙の出版物の売り上げをみると、1996年の2兆6564億円から2022年には1兆1292億円と半減している。主要取次会社も赤字経営に陥っており、このままでは2028年ごろに従来型の街の書店が消滅する可能性すら指摘されている。
書店は単なる商品販売の場ではなく、地域の文化拠点としての役割も担っていることから、その消失は大きな影響を与えかねない。こうした危機的状況を打開するため、業界では新たなビジネスモデルの模索が始まっている。
それが、無人営業を実現する「MUJIN書店」と、棚単位で貸し出すシェア型の「ほんまる」だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
えっ、盗まれないの? 無人の古本屋は、なぜ営業を続けられるのか
東京の三鷹駅から徒歩15分ほどのところに、無人の古本屋がある。広さ2坪のところに、500冊ほどの本が並んでいるだけ。「誰もいなかったら、本が盗まれるのでは?」と思われたかもしれないが、実際はどうなのか。オーナーに話を聞いたところ……。なぜfreeeが本屋を始めたのか 経営状況を”明け透け”にする「透明書店」
クラウド会計ソフトを展開するfreeeが子会社を設立し、書店経営に参入する。蔵前にオープンした「透明書店」は、月々の売り上げなどの経営状況から経営にまつわる施策や日々の出来事などを“明け透け”に公開する一風変わったコンセプトだ。どんな書店なのか。