2028年、街から書店が消える? “救世主”になるかもしれない「2つ」のビジネスモデル(2/6 ページ)
書店業界が深刻な危機に直面している。全国の自治体の4分の1以上で書店がゼロとなり、2028年には街から書店が消えるという予測さえある。そんな中、新たな書店モデルが登場した。
トーハンとNebraskaが共同開発した「MUJIN書店」
MUJIN書店は、取次大手のトーハン(東京都新宿区)と店舗DXを手掛けるNebraska(東京都千代田)が共同開発した書店向け無人営業化ソリューションだ。収益性と顧客体験の向上を実現するシステムで、有人営業と無人営業のハイブリッド型運営を可能にした。
セルフレジを導入することで、夜間・早朝の購買ニーズにも対応。24時間営業を実現し、店舗収益の改善を図っている。
現在、MUJIN書店は都内に3店舗を展開しており、1号店の山下書店世田谷店は2023年3月に実証実験を開始し、2号店のメディアライン曙橋店は同年11月から運用を始めた。3号店のメディアライン大山店は2024年3月15日より営業を開始し、いずれの店舗も有人と無人のハイブリッド型で24時間営業を行っている。
無人営業時の入店にはLINEを導入した。「LINEは幅広い世代に普及しており、最適なプラットフォームだと考えた」と、Nebraskaの共同代表である藤本豊氏は採用理由を説明する。
トーハン経営企画部マネジャーの齊藤浩一氏によると、「小型店であれば初期費用は最小で100万円程度、月額費用も6万5000円」と、導入しやすい低コストモデルであることも特徴として挙げられる。
利用状況について齊藤氏は、「夜は予想以上に利用があり、午前1時前後まで定期的に利用がある」と話す。一方で、「早朝は意外に少ない」という。
また、顕著な万引被害増加や店内での迷惑行為も報告されていないほか、セキュリティ面では、LINEの認証が想定以上に効果を発揮している。「LINEが『デジタルの名札』のような役割を果たしている」(藤本氏)。
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