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「1000円カット」も今は昔 再値上げもありそうなQBハウスから考える「デフレビジネス」の限界(2/3 ページ)

かつて1000円カットで一世を風びしたQBハウスだが、現在は1350円へと値上げしている。いわゆるデフレビジネスともいえる低価格のサービスが岐路を迎えているといえそうだ。

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値上げで従業員の待遇改善に注力

 消費者の間ではQBハウスの代名詞として「1000円カット」が定着しているが、上述した通り現在のQBハウスの価格は1350円だ。消費増税があった2014年に1000円から1080円へ値上げし、その後も2019年2月には1200円、2023年4月には1350円と段階的に値上げを行った。2019年、2023年の値上げは人手不足に直面し、待遇改善の原資を確保することを目的としていた。

 コロナ禍において、QBハウスの運営元であるキュービーネットホールディングスの業績は外出自粛の影響を受けた。特に2023年6月期以降は人手不足の影響が深刻だった。人員を確保できないことを理由に休業店が生じたほか、店舗の統廃合も進めた。2020年6月期から2024年6月期の間、全社売上収益とQBハウスの国内店舗数は次のように推移している。

売上収益:190億円→189億円→205億円→227億円→247億円

店舗数:568→565→576→557→545


 同社は2023年の値上げを原資にベアを行ったと公表している。ベア率は正社員で平均7.4%、パート社員は時給100円のプラスである。転職サイトの口コミを参照すると、1日のカット人数の多さに対する仕事のキツさや、処遇に対する不満が目立つ。人手不足に悩む手前、人件費を上げなければならなかったのだろう。ちなみに業界では男性客の流入により美容院の数は増えている一方、理髪店の数は年々減っており、理容師の確保が課題となっている。


2023年8月に実施したベアのデータ(出所:プレスリリース)

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