DIC、川村記念美術館を1月下旬から休館へ 「資産活用の観点」で閉館も視野に
DICは8月27日、同社が所有するDIC川村記念美術館(千葉県佐倉市)について、縮小移転の検討を進めると発表した。今後の方針について年内に決定した上で、決定内容を速やかに実行するために、2025年1月下旬から休館するという。
化学メーカーのDIC(東京都中央区)は8月27日、同社が所有するDIC川村記念美術館(千葉県佐倉市)について、縮小移転の検討を進めると発表した。運営の中止も視野に入れているという。今後の運営方針について年内に決定した上で、決定内容を速やかに実行するために、2025年1月下旬から休館するとしている。
主力製品として印刷インキや顔料を取り扱う同社は、経営ビジョンに掲げる「彩りと快適」を象徴する存在として、1990年にDIC川村記念美術館(開館時は「川村記念美術館」)を開館。地域への社会貢献活動の一環として運営を続けてきた。
しかし、取締役会での審議の結果、「資本効率という側面においては必ずしも有効活用されていない」として、社会的価値と経済的価値の両面から、美術館運営の位置付けを再検討するべき時期にあると評価。
外部の視点から助言を得る目的で設立された「価値共創委員会」でのさらなる審議の結果、同社の業績や投資家からの意見などを踏まえ、 東京への移転を想定した「ダウンサイズ&リロケーション」、もしくは「美術館運営の中止」を検討すべきとの提言がなされた。
同社の取締役会はこれを受け、運営中止の可能性も排除せずに、「ダウンサイズ&リロケーション」について検討を進めると決定。
検討に当たっては、規模縮小と移転の実現性や、作品売却による経済価値などを総合的に勘案するとしている。また、速やかに決定内容を実行するため、同施設を2025年1月下旬から休館すると発表した。具体的な休館日程については決まり次第告知する。
同美術館は754点の美術作品を所蔵しており、そのうちDICが384点を保有。同社が保有する全作品の資産価値は、2024年6月末時点の簿価ベースで総額112億円だという。また、同美術館の土地及び建物も同社が所有している。
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