「令和の米騒動」と叫ばれる今、スーパーなどで全国的にコメの品薄が続いている。
昨年の猛暑によりコメの収穫量そのものが減少したことに加え、訪日客増加により外食需要が増加したこと、他の食品に比べてコメの値上がり幅が緩やかだったことが、品薄に拍車を掛けたとみられる。
コメの品薄により、電子レンジで加熱調理して食べる「パックご飯」の需要は増えているのか。メーカーの生産は追い付いているのか──パックご飯を製造・販売しているアイリスオーヤマに聞いた。
――パックご飯商品の売れ行きは。
8月29日時点までの直近4週間で、売り上げが前年比約1.5倍となっています。
――昨今のコメ不足を受けて、商品の生産、供給への影響は。
需要が増加する予測の下、稼働していた角田工場(宮城県角田市)に加え、2024年7月から鳥栖工場(佐賀県鳥栖市)でも生産開始し、生産量は増加しています。一部で欠品なども発生していますが、販売を継続しています。
――コメの「仕入れ」への影響は。
コメの不作の影響は出ていますが、当社の調達計画に沿った仕入れを行えるよう調整して進めております。
――スーパーやドラッグストアなど、小売業者から「卸してほしい」といった強い要望はあるか。
ご要望もいただいています。生産状況に応じて卸させていただいています。
――今後もコメ不足が長期化した場合、値上げの可能性は。
あり得ます。市場価格に応じて検討しています。
スーパーからコメの姿が消える中、SNSでは「パックご飯しか置いていなかった」「お米コーナーがパックご飯で埋め尽くされていた」といった投稿が多く見られる。精米と比較すると、パックご飯は安定して供給できているようだ。
コメ不足は新米が本格的に出回れば解消される見込みだ。8月から順次新米の流通が始まっており、坂本哲志農林水産大臣はコメが品薄となっている状況について「徐々に解消に向かう見通し」としている。
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