国民的アイス「ガリガリ君」、誕生のきっかけはオイルショック? 年間4億本も売り上げる秘密は「消費者との共同作業」:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/4 ページ)
登場から40年以上が経過し、年間4億本を売り上げる国民的アイスの「ガリガリ君」。誕生のきっかけやヒットの秘訣に迫る。
ソーダと梨がツートップ
さて、数々の取り組みを行ってきたガリガリ君だが、現在の顧客層はどうなっているか。広報によれば、ガリガリ君リッチシリーズや大人なガリガリ君シリーズを投入した効果もあり、30〜50代がボリュームゾーンとのこと。ガリガリ君はコンビニを当初から販売ルートとして重視。コンビニと共に成長してきた面もあるので、コンビニの主要顧客と重なる感がある。この世代は、子育て世代でもあり、親から子へとファンが継承されていくと思われる。
歴代人気フレーバーのトップ5は、次の通りだ。まず、1位は「ガリガリ君ソーダ」。発売当初から年間販売している定番フレーバーである。2位は「ガリガリ君梨」。通常のガリガリ君よりも氷の粒を細かくして、本物の梨のシャリシャリとした食感を再現した。3位は「ガリガリ君リッチコーンポタージュ」。駄菓子「うまい棒」で人気なコーンポタージュ味だが、温かいものを冷たいアイスで食べるギャップの面白さを狙った点が人気を呼んでいるようだ。
4位は「ガリガリ君リッチチョコミント」。2018年の発売以来、毎年ファンからリクエストがあるほど根強い人気を誇っている。5位は「ガリガリ君九州みかん」。2017年に発売した商品で、パッケージでは「くまモン」とコラボした。売り上げの一部は熊本地震復興支援として寄付している。なお、トップ5のうちソーダと梨は、ガリガリ君の代名詞ともいうべき商品で、人気が突出している。
赤城乳業の将来ビジョンとして、海外市場の開拓が大きな課題の一つだ。2016年、タイに子会社を設立。東南アジアに進出して、タイ・ベトナムを中心にガリガリ君の販路を拡大してきた。「今後も、サンプリングイベントなどを通じて、現地のお客さまにもガリガリ君を知ってもらい、食べてもらう機会を増やしていきたい」(広報)としており、国内の人口減が見込まれていることもあり、海外の販売拡大にも注力していく計画だ。
海外の多くの人に愛される「ガリガリ君」になれるか。ぜひ、ラーメン、寿司、天ぷらなどに続く、クールジャパンの「食」として、世界中に涼を届けてほしいものだ。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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