「コメ不足」でバカ売れの「パックご飯」が、日本の救世主になりそうな理由:スピン経済の歩き方(7/7 ページ)
サトウ食品の「サトウのごはん」をはじめとした「パックご飯」が売れている。米の品薄が続く中、国内での消費はもちろんだが、もっと日本の戦略商品として輸出を強化していくべきでもある。なぜかというと……。
パックご飯を世界に広げるには
実際に業界としては既に「世界」を見据えて動き出している。全国包装米飯協会は2023年10月27〜29日の3日間、成田空港で日本から去っていく外国人観光客にパックご飯2000個を無料配布した。
日本観光の余韻に浸った外国人観光客が、こういう「日本土産」を自国に持ち帰る。もし日本食に魅せられた人の場合は、日本の米のおいしさとパックご飯の便利さを家族や友人に宣伝をしてくれるだろう。口コミでパックご飯のおいしさが伝わるかもしれない、というワケだ。
このような戦略でパックご飯の輸出を右肩上がりで増やしていけば、それは結局のところ日本の米の輸出も増やすことになる。原料を供給する農家側も、生産量を上げていくことも求められる。
つまり、パックご飯が世界に広まれば、日本の食料安全保障はかなり強化されていくということだ。
もちろん、海外にもパックご飯はあるので一筋縄ではいかないだろう。競争に勝つためにはただ単に米のおいしさだけで勝負するのではなく、外国人にも人気の「牛丼」や「親子丼」のような日本独自のパッケージをつくって売っていく必要もあるかもしれない。
ただ、そこは「カップヌードル」などの世界的ヒット商品をつくった日本である。言葉や文化の違う人たちをうならせる、革新的なパックご飯を開発していけるのではないか。
いずれにせよ、今回のコメ不足からも分かるように、日本の食料事情は皆さんが思っている以上に脆弱(ぜいじゃく)だ。世界的な食料危機が起きたとき、各国はまず自国民のために食料を確保をする。そうなると食料自給率38%の日本には何も入ってこない。「日本人は世界で最も早く飢える」と言われるゆえんだ。
食料安全保障のためにも、そして災害の備えのためにも、パックご飯という戦略商品を介して米の生産量をどうにかして増やしていくしか、日本人が飢えを回避する道はないのではないか。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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