やっぱりジムニーなのか? キャンプブームが終わっても支持されるクルマ:高根英幸 「クルマのミライ」(1/5 ページ)
キャンプブームは落ち着いたと言われるが、キャンピングカーやアウトドアに使えるクルマの需要はあり、車中泊も定着した。大型車だけでなく、シエンタやジムニーシエラ、軽バンといった車種も支持されている。車内空間を有効に使うユーザーもさらに増えるだろう。
キャンプブームは終わった、と言われている。大手キャンプ用品メーカーの業績が振るわず、キャンピングカーの売れ行きも下降傾向にある。そういう数字で見れば、確かに一つの盛り上がりが収束した感はある。
しかし、キャンピングカーの販売台数は2022年をピークに若干下降気味ではあるが、相変わらず売れているし、国内の保有台数は増える一方だ。つまりユーザーは確実に増えているのである。
ブームは去ったが、その分キャンプ場の予約が取りやすくなった、マナーを知らないユーザーが減ったという声もある。ハイシーズンの週末はキャンプ場はそれなりににぎわっているようだから、今もキャンプを楽しんでいる人は多いのだ。
そして今やオートキャンプ、車中泊はクルマの楽しみ方のスタイルとして定着した感がある。
ただし車中泊を禁止しているキャンプ場も少なくない。冷暖房のためのアイドリングや、深夜や早朝のトイレ利用などでの乗降時にドアを開閉する騒音が問題視されているからだ。便利さ、快適さを味わいたい向きもあるだろうが、アウトドアは自然や周囲の人へのインパクトをできる限り穏やかにするのが基本ルール。楽しすぎて羽目を外してしまうことのないようにも気を付けたいものだ。
キャンプやアウトドア、ドライブ旅行などを楽しむユーザーは大型SUVやハイエースに乗っているイメージも強いが、実際には幅広い車種がキャンプ場に集まっている。
トヨタのランドクルーザー(ランクル)やアルファードが乗用車の登録台数でランキング上位になる異常さも日本特有の現象であるが、アウトドアを楽しんできた人でもランクルユーザーは全体で見れば少数派だ。
プリウスがそれほど売れていない(それでも僅差でせめぎ合う11位あたりを維持)のは、役割を終えたと判断しかけたトヨタの豊田章男会長の考えが正しかったことの裏付けでもある。プリウスの燃費性能を受け継ぐさまざまなハイブリッド車が普及したことで、ユーザーの選択肢が広がり、ますますトヨタの強みが発揮されている状態になっているのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
なぜクルマのコーティングが人気なのか ユーザー心理を利用する術
カーディテイリングビジネスが活況だ。日本では1980年代から徐々に市場が拡大。コーティング技術や洗車機の性能も向上し、安心できるサービスになっている。需要に応じて形を変えながら、さらに発展していきそうだ。
セダンが売れる時代はもう来ないのか クルマの進化で薄れていく魅力
SUVやミニバンと比べて、セダンの人気は衰退している。目新しさが魅力だったSUVも走行性能などが高められたことに加え、ドライバーの意識も変わっている。スポーツカーも衰退しているが、所有して運転する楽しさを追求できるクルマも必要だ。
キャンピングカー人気は続くのか 需要維持に必要な要素とは?
日本のアウトドアブームが落ち着いてきた一方、キャンピングカーの人気は衰えていない。展示会では大型車両をベースにした展示車が増え、熟年オートキャンパーの心をつかんでいる。しかし、ブームによるマナー低下に歯止めをかけないと、衰退につながりかねない。
なぜテールランプがまぶしいクルマが増えているのか クルマづくりに欠けている視点
前走車のテールランプをまぶしく感じることが増えた。平時にリアフォグランプを点灯するのは問題外だが、ブレーキランプの規制変更によるデザイン性の追求という要因もありそうだ。環境性能や安全性だけではなく、周囲に配慮する工夫もますます必要になるだろう。
ハイブリッドが当面の“現実解”である理由 勝者はトヨタだけではない
EVシフトに急ブレーキがかかっている。CO2排出や電力消費の面で現実が見えてきたからだ。現時点ではハイブリッド車、そのなかでもエンジンで発電してモーター走行するシリーズハイブリッドが最も現実的な方式だ。その理由とは……
