キャンピングカー人気は続くのか 需要維持に必要な要素とは?:高根英幸 「クルマのミライ」(1/5 ページ)
日本のアウトドアブームが落ち着いてきた一方、キャンピングカーの人気は衰えていない。展示会では大型車両をベースにした展示車が増え、熟年オートキャンパーの心をつかんでいる。しかし、ブームによるマナー低下に歯止めをかけないと、衰退につながりかねない。
日本のアウトドアブームは最近、落ち着いてきたようだ。
アウトドア用品メーカーとしてトップブランドといえるスノーピークの純利益はわずか100万円と、赤字には転落しなかったものの見るも無残な状態に陥っている。それは、競合の多さによる収益の低下もあるが、ブームが落ち着きつつあることも示している。
ソロキャンパーの減少が、全体としてのブームの衰退に影響を与えているのも間違いない。ソロキャン女子の漫画やインフルエンサーの影響によって、急速に増えたソロキャンパーだが、急速に増えたということは数回の経験で満足したり、自分には合っていないと気付いたりして、他の趣味へと移行する人々もいるのだ。
いくらアウトドア好きでも、一人でテント設営や料理をしてのんびり過ごすだけでは、リラックスできたとしても飽きが来る人もいるだろう。自宅とは異なる非日常を味わったとしても、それを習慣化してしまうと非日常感は希薄になるからだ。
さらにファミリー層においても、キャンプを楽しむのは子どもが小さいころが大半で、その後は習い事や受験などでアウトドアを楽しむ余裕がなくなってくる。子育てが一段落して夫婦だけでまたキャンプを楽しむケースも増えているようだが、それはキャンプブームを再燃させるほどの勢いにはならない。
その結果、アウトドア用品の販売は低下し、リサイクルショップにアウトドア用品があふれんばかりに並べられるという事態になっているらしい。
その一方で、キャンピングカーの人気はまだまだ衰えを見せていない。クルマの保有台数が頭打ちになっている現在でも、キャンピングカーの保有台数は伸び続けている。
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