日本のキャンピングカー文化は定着するのか:高根英幸 「クルマのミライ」(1/6 ページ)
キャンピングカー市場が伸びている。街中でもよく見かけるようになったが、なぜ購入する人が増えたのだろうか。今後の行方は……。
日本のクルマの保有台数は8000万台弱と言われている。新車の販売台数は1990年をピークに下降傾向だが、クルマの平均車齢が伸びていることもあって、保有台数は高いレベルを維持し続けているのだ。さらに日本で使われなくなったクルマは海外へと輸出されて、再び移動の手段に使われるほど世界各国で重宝されている。
その一方で、移動手段としてだけではないクルマの需要も増加傾向にある。いわゆる運転を純粋に楽しむスポーツカーのようなクルマは減少傾向にあるが、それ以外にもクルマの利用価値は意外と広いものだ。
人が移動する、荷物を運ぶ、それ以外にもさまざまな用途でクルマは使われ、役に立つだけでなく人々の暮らしを豊かなものにしてくれる。その一つが「クルマの中に住める」キャンピングカーだ。コロナ禍によって以前からのアウトドアブームが加速し、それに伴いキャンピングカーの需要も高まった印象がある。
実際、2022年の国内キャンピングカー販売は売り上げにして762億円(日本RV協会のキャンピングカー白書より)と前年比で2割増の最高額に達している。保有台数も14万5000台に達し、16年に10万台を突破してからも伸び続けており、特に19年以降は急激に増加している。
前述のように保有台数も販売台数も減少傾向にある中で、キャンピングカーの需要は増え続けているのである。これは自動車産業としては見逃せないことではないだろうか。
だが、いつまでも増え続けるわけではなく、いずれは伸びが鈍化していくのは間違いない。それでも欧州と比べれば、クルマに占めるキャンピングカーの比率はまだまだ低い。日本でのキャンピングカー文化は、この先どうなっていくのだろうか。
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