日本のキャンピングカー文化は定着するのか:高根英幸 「クルマのミライ」(2/6 ページ)
キャンピングカー市場が伸びている。街中でもよく見かけるようになったが、なぜ購入する人が増えたのだろうか。今後の行方は……。
ソロキャンブームで軽キャンパーも変化
欧州に比べるとまとまった休みが少なく、陸続きで移動できる距離が限られる日本では、キャンピングカーの潜在需要はそれほど高くないと思われていたが、近年の盛り上がりぶりは相当な勢いがある。
休日になると首都圏の街中では、キャンピングカーを見かけることが珍しくなくなった。それは週末の小旅行を楽しんでいるだけでなく、キャンピングカーを日常の移動手段に利用しているユーザーもいて、さらに最近は多目的な使い方をしている人が増えているようである。
2月に幕張メッセで開催されたジャパンキャンピングカーショー。日本最大のキャンピングカーのイベントだ。以前から取材してきた筆者の印象では、来場者自体はコロナ禍で減少しているが、むしろ車両の需要は高まっており、より充実した車両に買い替えるユーザーも珍しくない
日本のキャンピングカー需要は細かく見ていけば、小型トラックがベースのキャブコン(キャブトラックのコンバージョンモデルの意)、ハイエースなどがベースのバンコンなど、車体によって細分化されるのだが、目的や環境によって大きく3つに分かれるのだ。
キャンピングカーとしての快適性を考えれば、居住空間は広く装備が充実しているほど快適だから、大きなボディを持っているほうが優れている。しかし現実は予算だけでなく機動性や燃費、維持費や駐車スペースなどの経済性も無視できない。つまりそこで選択肢が分かれ、家族構成や目的などによって最終的に車種や仕様が決まってくるのだ。
その結果、日常使いもできるハイエースベースのバンコンと、軽トラベースの軽キャン、そしてハイエースを大きく上回るサイズの大型キャンピングカーに大別できるのである。
軽キャンピングカーは子どもが独立して夫婦二人だけ、もしくは若いカップルでキャンピングカーでの旅行を楽しむケースが多く、バンコンは子どもが小さい家族が利用、大型キャンピングカーは富裕層で家族が多めの構成が選ばれる傾向のようである。
軽ハイトワゴンをベースとした就寝人員1人のキャンピングカーの室内。テーブルを室内幅いっぱいに配置することで、ワーキングスペースとしても十分な広さを確保している。リモートワーク時の個室としても十分使える。就寝2人の場合はベッドは狭いが、軽トラックベースと比べると機動性の高さも魅力だ
22年4月からは就寝定員1人でもキャンピングカーとして認められるようになった。これによりソロのオートキャンプに使えるだけでなく、日頃はリモートワークのためのスペースとしても活用できる書斎として新たな需要を呼び起こしているようだ。
そもそも就寝定員2人の軽キャンでもリモートワークには十分対応できたのだが、就寝人数を1人とすることで、より快適な空間で仕事ができるようになり、車体も軽くできることから移動の際の機動性も向上する。
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