キャンピングカー人気は続くのか 需要維持に必要な要素とは?:高根英幸 「クルマのミライ」(2/5 ページ)
日本のアウトドアブームが落ち着いてきた一方、キャンピングカーの人気は衰えていない。展示会では大型車両をベースにした展示車が増え、熟年オートキャンパーの心をつかんでいる。しかし、ブームによるマナー低下に歯止めをかけないと、衰退につながりかねない。
キャンピングカー人気は衰えていない
2月上旬に開催された「ジャパンキャンピングカーショー2024」を取材したが、初日は金曜日にもかかわらず一般の来場者もかなり多く、熱心なファンが展示車をつぶさに観察していた。
前回あたりから会場の雰囲気で感じることは、日本ならではの軽トラックや軽バンをベースとした軽キャンピングカーの展示が減り、ハイエースよりも大きなベース車両が増えていることだ。
これは従来、欧州で製作されてから輸入されているキャンピングカーのベースである「フィアット・デュカト」がベース車両の状態で正規輸入されることになり、国内ビルダーがデュカトベースの大きなキャンピングカーの製作を本格化しているからだ。
さらに国内ビルダー大手のトイファクトリーがドイツのハイマーグループの代理店となり、今回のキャンピングカーショーでもデュカトベースのキャンピングカーをさまざまなブランドごとに展開していた。
欧米では歴史と市場が桁違いであるため、テーマごとに異なるブランドが立ち上げられ、それぞれに仕様のグレードがあり、豊富なラインアップを誇るのだ。
国内の巨大な工場でキャンピングカーを続々と製作する大手ビルダーでも、ハイエースより大きなボディをベースとしたキャンピングカーを製作するのは投資もリスクも大き過ぎる。まずは輸入販売という手段を選んだのも理解できる。
今回おそらく最高額となるキャンピングカーがこのモデル。フィアット・デュカトベースながらボディ後半を完全に作り変えたもので、全長7.9メートル、全幅2.3メートルもある。4人乗車で就寝も4人。価格は3505万円
それにしても熟年オートキャンパーの熱心ぶりには少々驚かされた。家は3軒建ててようやく理想にたどり着く、と言われているが、キャンピングカーも手に入れて乗り回しているうちに、不満な部分が気になり新しいキャンピングカーに買い替えたくなるものなのか。
現在のキャンピングカー人気は、2台目、3台目へと買い替えて、より大きくリッチなキャンピングカーを求める層が増えていることを意味しているのだ。
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