アイドルフェス仕掛け人に聞く コロナ禍明けのライブ・エンタメの展望:市場のパラダイムシフト(3/3 ページ)
9月14〜16日の3日間にわたり、230組のアイドルグループが出演する日本有数のポップカルチャーフェス「@ JAM EXPO」が横浜アリーナで開催される。総合プロデューサーを務める橋元恵一さんに、コロナ禍明けのライブ・エンターテインメントの実情や最近の変化、同フェス開催の裏側を聞いた。
成功をつかむ新しい顧客アプローチ
デビュー直後からSNSを積極的に活用し、短期間で幅広い層にリーチしたFRUITS ZIPPER(フルーツジッパー)というアソビシステムが手掛けるアイドルグループがある。代表曲「わたしの一番かわいいところ」はTikTokで9億回再生を突破。2023年の日本レコード大賞、最優秀新人賞にも輝いた。
橋元氏に日本武道館での同グループの公演について聞いた際、ファン層が従来のアイドルとは明らかに異なる点に注目していた。成功の背景には、これまでのアイドルグループとは一線を画したSNS戦略があったと言えるだろう。
橋元氏との取材を通じ、FRUITS ZIPPERの急成長が、新たなマーケティング手法によるものであることをあらためて認識した。エンタメの世界にも少しずつだが、確実な変化の兆候が見られる。
アイドル業界での成功法則には、エンタメだけにとどまらず、企業が顧客との関係を深め、LTVを最大化するための重要なヒントを含む。橋元氏の取り組みから学べるのは、時代のニーズに応じて柔軟に戦略を進化させる大切さだ。旧来の手法にとらわれない新たな顧客体験を提供することが、どの業界でも成功の鍵となるだろう。
著者プロフィール
柳澤 昭浩(やなぎさわ あきひろ)
18年間の外資系製薬会社勤務後、2007年1月より10期10年間に渡りNPO法人キャンサーネットジャパン理事(事務局長は8期)を務める。科学的根拠に基づくがん医療、がん疾患啓発に取り組む。2015年4月からは、メディカル・モバイル・コミュニケーションズ合同会社の代表社員として、がん情報サイト「オンコロ」コンテンツ・マネージャーなど多くの企業、学会などのアドバイザーなど、がん医療に関わる様々なステークホルダーと連携プログラムを進める。「エンタメ×がん医療啓発」を目的とする樋口宗孝がん研究基金、Remember Girl’s Power !! などの代表。
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