峯岸みなみが親善大使 アイドルフェス「@JAM EXPO」仕掛け人に聞くライブエンタメの実情:AKBなど全48グループが集結(1/5 ページ)
11年目を迎える@JAMの仕掛け人で、@JAM EXPOの総合プロデューサーを務める橋元恵一さんに、コロナ禍でのライブ・エンタテインメントの実情や、@JAM EXPO開催の裏側を聞いた。
コロナ禍によってライブ・エンタテインメント市場は壊滅的な影響を受け続けてきた。
ぴあ総研が6月に発表した音楽フェスの市場調査によれば、2021年の音楽フェスの市場規模は、コロナ禍前の19年比85.1%減の49.2億円で、動員数も48.1万人(19年比83.6%減)と大きく減少している。一方で同社は、壊滅的状況だった20年と比べれば、イベント開催制限の段階的緩和により低空飛行ながらも浮上していると分析した。
世界に目を向けると、多くの大規模フェスはコロナ禍以前の形態で開催されている。日本でも22年は既に、三大ロックフェスであるFUJI ROCK FESTIVAL、ROCK IN JAPAN FESTIVAL、SUMMER SONICも開催された。
そんな中、8月26日〜28日の3日間にわたり、約200組のアイドルグループが出演する日本有数のポップカルチャーフェス「@ JAM EXPO(アットジャムエキスポ)」が横浜アリーナで開かれる。
20年はオンライン、21年は新型コロナウイルスの第5波のもと、さまざまな制限下で開催することを余儀なくされた。そして22年。日本は新型コロナの第7波の状況下にはあるものの、3年ぶりにコロナ禍以前の形態での開催を目指している。
11年目を迎える@JAMの仕掛け人で、@JAM EXPOの総合プロデューサーを務める橋元恵一さんに、コロナ禍でのライブ・エンタテインメントの実情や、@JAM EXPO開催の裏側を聞いた。
橋元 恵一(はしもと・けいいち) ソニー・ミュージックエンタテインメント/ライブエグザム。1967年東京生まれ。日本大学法学部卒業後、Tooを経て、1993年ソニー・ミュージックコミュニケーションズに入社。アーティストの販促サポートやビジュアルプロデュースを担当し、絢香、ケツメイシ、山崎まさよし、RAG FAIRなどのクリエイティブを担当。2010年、ソニー・ミュージックエンタテインメントへ異動し、ポップカルチャー音楽イベント『@JAM』を立ち上げる。現在では国内外にて年間30本以上のシリーズイベントの総合プロデューサーを担当。また、TOWER RECORDSとの共同レーベル『MUSIC@NOTE』のプロデュースや、「Gran☆Ciel(グラン・シエル)」などアイドルグループのプロデュースワークも精力的に行っている。『アットジャム〜日本一のアイドルイベントをゼロから育てた10年間』(ユサブル)を上梓(撮影:柳澤昭浩)
3日間で3万8000人が来場
――コロナ禍以降3回目の横浜アリーナでの「@JAM EXPO 2022」を開催します。昨年の実績や現在の状況を考えて、見直したところはありますか?
昨年の今頃はデルタ株への置き換わりが進み、第5波のピークの時期で、緊急事態宣言も出ている状況でした。
@JAM EXPOは10周年を迎え、初めて3daysでの開催だったのですが、観客の上限が5000人、かつ収容率50%での開催が求められていました。3日間での開催ですから、1万5000人での開催で準備を進めていました。実際にはなかなか思うようにいきませんでした。
ちょうど、各地での大型音楽イベントの不適切な開催が報道されたタイミングでもありました。お客さんの方もソーシャルディスタンスを確保しようという意識を強く持っていた時期でした。
このような状況下でしたから、本来フェスで椅子を使うことはないのですが、アリーナ含めた全てのステージに椅子を設置しなければなりませんでした。
22年もいろいろな制約はあるのですが、コロナ禍前の状態に戻して開催しようというのが一つのテーマで、いま準備をしているところです。
――観客の数も昨年より増やすことができ、運用もしやすくなりますか?
上限がなしになるので、販売数だけ参加いただける形になりました。推計では3日間で3万6000人〜3万8000人になります。新型コロナウイルスの感染状況もあるので、実際の数は読めない部分もあります。
運営自体は少しですが、やりやすくなっています。昨年は、楽屋を含めソーシャルディスタンスを取るなどの運用がシビアで、それまで使用したことのない場所を楽屋にしたり、各所に換気のための扇風機を置いたりと大変でした。
もちろん今年も、それなりの対策をしなければならないのですが、楽屋やケータリングなどはコロナ禍前とはいかないまでも、ある程度は戻せそうです。また、以前はロビーエリアにもステージがあったのですが、これも復活させる予定です。
――昨年より集客が望めそうですね。客数が増えるということは、チケットの単価は下げましたか?
チケット代は、昨年より値下げしました。昨年は上限5000人でしたから、上げざるを得なかったのですが、今年は昨年より下げられました。
コロナ前は、1日VIP席を4万円、一般のチケットを7800円にしていたところ、コロナ渦ではVIPを5万5000円、チケットを1万1000円に設定しました。この価格でも厳しくはありましたが。
――VIP席にも2つの種類を設定していますね?
VIPとしてはSとAを用意しています。
VIP Sは、ソファなどがある専用のロイヤルボックス(部屋)を利用できるようにしています。Aには部屋のご用意はないものの、Sと同じく主要な複数のステージの最前センターエリアを用意しています。チケット代は、VIP Sを1日4万8000円で、VIP Aを4万4000円としました。
席数はVIP Sを140枚、VIP Aを300枚程度に限定しています。VIP席の売れ行きは好調で、いつも最初に売れ切れてしまいます。
――今後は収益面を考慮して、VIP席を増やす考えはありませんか?
VIPの方は何ができるかというと、一番大きいストロベリーステージ、次に大きいセカンドステージであるブルーベリーステージと、キウイステージの最前エリアでの観覧です。このエリアも収容できる人数が限られているため、販売数を増やすとVIPを買ったにもかかわらず、そこで観覧できない方が出てしまう懸念を考慮しています。
VIP席を購入した方には、やはりVIPな体験をしてほしい狙いがあり、増やせればいいのですが、実際には増やしていません。
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