2015年7月27日以前の記事
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SNSにまん延する偽情報 プラットフォーマーに求められる対策とは?(2/2 ページ)

SNSにあふれる偽情報。投稿を適切に管理するコンテンツモデレーションの最適解はあるのか。専門家は事業者による情報公開の重要性を指摘する。

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コンテンツモデレーションを有効に機能させるには

 一方で、表現の自由の観点から、コンテンツモデレーションの困難さも指摘されている。鳥海教授は「両者は表裏一体。コンテンツモデレーションをしっかりすると、表現の自由をある程度侵害せざるを得ないところは現状ある」とし、「コンテンツモデレーションの正しいやり方について、まだコンセンサスが取れていない」と説明する。

 例えば、PF事業者によっても、削除すべき投稿の基準は異なる。「米大統領選で何がフェイクかというのは、陣営によっても定義が異なる」(鳥海教授)

 コンテンツモデレーション自体、非常に困難な作業ではあるが、考えられる対策自体はあると鳥海教授は話す。例えば、PF事業者以外の第三者機関がコンテンツモデレーションをする方法だ。

 「現状はPF事業者がコンテンツモデレーションを担っているが、例えば、コンテンツモデレーションを行う企業の中から、各PF事業者が自社に適したコンテンツモデレーションを選ぶという形も考えられる。ある程度、コンテンツモデレーション自体をユーザー側がコントロールできるような状態を作ることはできるのではないか」(鳥海教授)

 ただし、コンテンツモデレーションの結果自体がPF事業者の売り上げに直結するものでもあるため、実現は容易ではないという。

 総務省の有識者会議が公表したとりまとめでは、PF事業者の自主的な取り組みだけでは十分とはいえないとして、より踏み込んだ対策を国に求めている。

 例えば「行政法規に抵触するような違法な偽情報に対して、行政機関からの申請を契機とした削除などの対応を迅速化するための窓口を整備する」「コンテンツモデレーションの基準や手続き、人員体制に関する情報を公表する」「広告の事前審査における審査基準の策定・公表、審査体制の透明化を図る」――などを挙げている。

 総務省は、とりまとめの小括で「生成AIなどの新たな技術やサービスの進展・普及に伴い、偽情報が拡散するリスク・問題はますます状況の悪化が懸念されている」と指摘している。社会的インフラになったともいわれるSNSの各PF事業者には、その影響力に見合った責任を果たすことが求められている。

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