「若者のディズニー離れは“料金が高い”から」説は、本当か:スピン経済の歩き方(2/7 ページ)
若者のディズニー離れが起きているようだ。原因はオリエンタルランドの「富裕層向けテーマパーク路線」との声もあるが、本当にそうだろうか。日本の人口統計を見てみると……。
人口が減少している世代と丸かぶり
地方で生活をしている人から「最近、駅前や商店街で若者や子どもを見なくなってきた」という話をよく聞く。人の集まる場所でさえ中高年が目立つようになり、少子高齢化の影響を肌で感じているというのだ。それと同じ現象が、ついにディズニーにも及んできている可能性がある。
というのも、実は来園率が下がっている18〜39歳と4〜11歳は、この国の中でも急速に人口減少が進行している世代と丸かぶりなのだ。
例えば、総務省統計局が発表している「人口推計」の総人口を見ると、2020年10月の20〜39歳は2691万6000人。これが2023年10月になると2614万2000人まで減少する。つまり、コロナ禍前よりも77万4000人も減っている。これは新潟市の人口がごっそり消えたこととほぼ同じだ。
0〜9歳も2020年10月は965万5000人だったものが、2023年10月は892万5000人という感じでやはり73万人も減っている。これは熊本市の人口と同じだ。
さて、ここまで言えば筆者が何を言わんとしているのかお分かりだろう。ディズニー来園者の中で18〜39歳と4〜11歳の比率が下がってきているのは、チケットが高いとかなんだという話以前に、この年代がわずか3年で70万人以上減っているからだ。
もちろん、日本の人口減少は全世代に及んでいる。しかし、その中でも特にこの世代がディズニー来園者率に影響を及ぼすのは、「もともと40歳以上に比べて圧倒的に数が少ない」ということがある。
総務省統計局の「わが国の人口ピラミッド(2023年10月1日現在)」を見ると、人口が多いのは74〜76歳の第一次ベビーブームと、49〜52歳の第二次ベビーブームである。
この2つをピークに、若くなればなるほど日本人は減っている。20〜30歳のあたりで少し減少はゆるやかになるが、18歳あたりからまたガクンと減って、もはやベビーブーマー世代の半分ほどの水準まで落ち込んでいる。この減少傾向は年を追うごとに深刻になっている。
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