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「若者のディズニー離れは“料金が高い”から」説は、本当かスピン経済の歩き方(4/7 ページ)

若者のディズニー離れが起きているようだ。原因はオリエンタルランドの「富裕層向けテーマパーク路線」との声もあるが、本当にそうだろうか。日本の人口統計を見てみると……。

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「体験格差」の問題も

 このような話をすると、「私は以前は3カ月に1回はディズニーに通っていたが、チケットが1万円を超えてから泣く泣く諦めているぞ!」とか「ディズニーが高すぎて、親に連れて行ってもらえずイジメにあった気の毒な子どもを知っている」なんてお叱りがたくさん飛んできそうだ。


東京ディズニーランド/ディズニーシーでは10月1日から「ディズニー・ハロウィーン」を開催 (c)Disney

 もちろん、広い世の中だ。そういう方もたくさんいらっしゃる。その影響も否定するわけではない。ただ、だからといって「誰もが楽しめるようにチケット代を下げろ」は違う気がしている。

 「貧しい若者や子どもがディズニーに行けない」というのは、オリエンタルランドが対処する問題ではなくて本来、政治が解決しなければいけないからだ。

 若者の給料が安い問題の根幹は、最低賃金の引き上げを全国一律にせず、しかも30円とか50円とかチビチビとしか上げてこなかったことにある。

 例えば今、低賃金に嫌気がさした日本の若者たちがワーキングホリデーでオーストラリアに行った場合、最低賃金は全国一律で24.10豪ドル、日本円で時給2300円(9月17日現在)だ。これは春闘の成果でも中小企業経営者が自発的に待遇を改善したわけでもなく、「公正労働委員会」という政府機関が物価上昇に合わせて引き上げてきたからだ。

 日本の場合、自民党の有力支持団体が日本商工会議所などの中小企業経営者団体という「オトナの事情」もあり、政財官が一丸となって「最低賃金を引き上げたら会社がたくさん倒産して不況になる」という世界的にも珍しい恐怖訴求を進めてきた。これをあらためない限り、日本の若者の給料は安いままだ。

 貧しい家庭の子どもがディズニーに行けないなどの「体験格差」の問題も基本的には、国や自治体が解決すべき話だ。

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