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やっぱり、セブン&アイの買収提案は悪い話なのか いやいやそうでもない、これだけの理由:合理的な判断(2/7 ページ)
小売り大手のセブン&アイが、カナダに本社を置くアリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けました。ネガティブな報道が多い印象がありますが、本当に悪い話なのでしょうか。財務を分析すると……。
驚きだったセブン&アイへの買収提案
セブン&アイの買収提案に驚いたのは、日本国内では小売業界で最も優れている大企業であり、かつ海外、特に米国でもきちんと成長をしていたことから、まさかそのような企業が買収提案を受けるなどということは想定していなかったからです。通常であれば、評価の高い企業は株価が高く、買収されるのではなく、むしろ買収する側です。実際にセブン&アイも買収して大きくなった企業です。
そうした企業ですら買収候補として挙がってくるということが驚きでしたが、その中身自体は買収する側にとってみれば合理的だと思います。
セブン&アイは今回の買収提案を受けて、日本政府からNOと言えるような規制業種申請を出したという報道が出ていました。セブン&アイは行政サービスの代行や金融業なども行っていることから、日本にとって安全保障上重要な企業であり、「買収されるなんてとんでもない」という意見もあるのだと感じます。
ただ、株主の立場からすると、本来高い価格で買収されるということはプラスであるはずです。こうした反応は「買収されるのは良くない」ということが前提としてあり、そもそも買収されること自体をネガティブに見られている証左と言えます。
なぜそうした認識が浸透しているのかは分かりません。ただ、私自身の考えとしては、買収されること自体が悪だとは思っていません。むしろ買収によって企業が成長できるのであれば、その道を選ばなくてはならないと考えています。
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