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給料が上がらなくても「社員旅行」を復活すべき、その意外な経済効果スピン経済の歩き方(3/6 ページ)

社員旅行は減りつつある昭和の企業文化の一つだが、日本経済全体を考えた場合、積極的に活用をすべきではないだろうか。その理由は……。

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地方活性化にも重要な「観光」

 日本経済はトヨタ自動車などの「ものづくり輸出企業」がけん引しているイメージを持つ人も多いが、実は日本のGDPの約7割はサービス業だ。つまり、飲食、小売、宿泊、イベント、アミューズメント施設運営など幅広いサービス業が包括されている観光業の「客」が減ることは、日本経済がいつまでたっても上向かないということだ。

 もっと言えば、「観光」は地方活性化にも重要だ。観光庁の資料によれば、宿泊業は他産業に比べて材料やサービスの地元周辺地域からの仕入れ割合が高く、8割を超えている。つまり、地産地消ではないが地域経済を回す原動力になっている。

 雇用もしかりだ。宿泊業は都市部よりも地方に行くほど従業員割合が高くなっている。地方部の雇用をより多く担っているのだ。


各事業の地域への経済分配(出典:観光省)

 かつては地方に大企業を誘致してドカンと工場を建てればよかったが、ものづくり企業の多くが海外拠点を広げている今はもうそういう時代ではない。そこで冷えた地方経済をこの「観光」でよみがえらせようというのが、「観光立国」の基本的な考え方だ。

 減少していく日本人観光客に代わって外国人観光客にカネを落としてもらうことで、日本経済のエンジンであるサービス業を活性化させようというワケだ。

 これはそれなりに成果も残しているものの、いくつか大きな副作用も生んでいる。まずはご存じ、オーバーツーリズムだ。有名観光地には外国人観光客が大挙として押し寄せて、地元民との衝突など阿鼻叫喚の地獄絵図が繰り広げられている。一方で、それ以外の「地味な観光地」は相変わらず閑古鳥が鳴いているという「格差」も激しくなっているのだ。

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