1本1500円は当たり前!? 物価高でも高価格シャンプーが売れ続けるワケ(4/4 ページ)
ドラッグストアのシャンプー売り場で、ある変化が起きている。2015年頃から新興企業が手掛ける1500円前後のシャンプーが登場。それまでのシャンプーになかった高い機能性や使い心地の良さから、じわじわと人気が拡大しているのだ。
物価高でも高いシャンプーが売れるワケ
大手メーカーや新興企業が次々とブランドを打ち出し、拡大を続ける高価格の市販シャンプー市場。美容系総合ポータルサイト「@cosme」を運営するアイスタイル(東京都港区)のリサーチプランナーは、拡大の要因にコロナ禍があると指摘する。
「コロナ禍のマスク生活では、思うようにメークができない日々が長く続きました。こうした中で新しい自己投資の対象として、ヘアケアが台頭したのです。入浴の一工程だったシャンプーの時間が、リフレッシュしたり自分自身をケアしたりする時間に変わりました」(アイスタイル リサーチプランナー)
シャンプーに対する認識が変わったことで、消費者の選び方も変化した。スキンケアのように、自分の髪質に合うもの、ダメージケアやうねりケアなど悩みを改善してくれるものを求めるようになっているのだ。かつては日用品だったシャンプーが、メークやスキンケアアイテムと同じ扱い=化粧品化しているといえる。
シャンプーの化粧品化は、長引く物価高で家計が厳しい中でも、高価格商品が売れ続ける要因にもなっている。化粧品を選ぶ際、効果や使い心地などさまざまな観点から「購入=投資すべき」と判断すれば、たとえ高価格であっても購入する傾向がある。こうした消費者の意向が、化粧品化したシャンプー選びにも反映されているのだ。
激化する高価格シャンプー市場
高価格の市販シャンプー市場での競争は、今後ますます激化していくだろう。I-neはボタニストの強化を図り、頭皮ケアに特化したシリーズや、エイジングケアに特化したシリーズに注力している。3月には、ヘアカラーをしている人をターゲットにした新ブランドも立ち上げた。花王は今秋から来年にかけ、第2弾、第3弾の新ブランドを投入する。メルトの商品ラインアップも拡充する予定だ。
メーカーだけでなく、「&be(アンドビー)」や「Wonjungyo(ウォンジョンヨ)」など、人気メイクアップアーティストが手掛ける化粧品ブランドからも高価格シャンプーが登場している。プレイヤーが続々と増える中、高価格シャンプー市場で生き残りをかけた各社の取り組みが続く。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
異例の350万本突破 リップモンスターが口紅市場で“モンスター級”になれた理由
コロナ禍により、化粧品市場は大きな打撃を受けた。2020年は6670億円(前年比88%)と大きく落ち込み、21年もほぼ同水準となった。最大の要因はメークアップ化粧品で、特にファンデーションや口紅など、マスクを着用すると崩れたり隠れたりしてしまうカテゴリーの落ち込みが大きくなっている。こうした状況にあって、累計販売本数が350万本突破するほどの人気商品となっているのが、KATEの落ちにくい口紅「リップモンスター」だ。
資生堂の美容部員がインフルエンサー化 華やかな投稿に隠れたSNS戦略とは
美容部員と聞くと、百貨店やコスメショップの店頭に立ち、一対一で顧客の話を聞きながら接客するというイメージを持つ人も多いだろう。その一方で、資生堂インタラクティブビューティー(東京都中央区)には、デジタルでの活動に特化した美容部員が約40人在籍している。その背景について、同社に話を聞いた。
焼き立てピザ、ヘルシー小鉢が無料 資生堂が社員食堂で「4人組限定」「早い者勝ち」ルールを作った深いワケ
資生堂の社員食堂が、他企業から「手本にしたい」と注目を集めている。同社ファシリティマネジメント部 オフィスコンシェルジェグループの近藤真理子氏に、社員食堂について話を聞いた。
「広告費0」なのになぜ? 12年前発売のヘアミルクが爆売れ、オルビス社長に聞く戦略
12年前発売のヘアミルクが爆売れし、2023年のベストコスメに選ばれた。「広告費0」「リニューアルも一切なし」を貫いてきたのになぜ? オルビス社長に戦略を聞いた。




