1本1500円は当たり前!? 物価高でも高価格シャンプーが売れ続けるワケ(3/4 ページ)
ドラッグストアのシャンプー売り場で、ある変化が起きている。2015年頃から新興企業が手掛ける1500円前後のシャンプーが登場。それまでのシャンプーになかった高い機能性や使い心地の良さから、じわじわと人気が拡大しているのだ。
花王、新ブランド「melt」で猛追
こうした新興企業に対し、大手メーカーも反撃の動きを見せている。中でも花王が2024年2月に立ち上げた新ブランド「melt(以下、メルト)」は、発売から約1カ月の出荷本数が計画比の9倍という大ヒットを記録。開発担当の野原聡氏(同社ヘルス&ビューティーケア事業部門 ヘアケア第1事業部 ブランドマネジャー)は、「弊社においてこれだけのヒットは近年では珍しい」と話す。
メルトは「休みながら美しく“休息美容”」がブランドコンセプトだ。これまで同社が展開してきたシャンプーは機能性やスペックでブランドをポジショニングしてきたが、メルトは感情を軸にブランドを設計した。「先行ブランドに追い付くべく、とにかく早く市場に出したかったので、部門ごとのリレー形式ではなく、マーケティング、研究などの各担当者がチームとなって開発しました」(野原氏)。商品は5カ月ほどで完成させたという。
メルトは商品ラインアップの豊富さが強みの1つだ。定番のシャンプーとトリートメントだけでなく、髪用の化粧水やヘッドスパから着想した生炭酸シャンプーなどさまざまなアイテムをそろえる。ブランドのポジショニングでは情緒的な部分を重視する一方、商品の機能性にもこだわり、同社が長年の研究開発で培ったノウハウを生かしている。
ドラッグストアに設置する販促物にも力を入れている。「商品が棚のどこに置かれるかは店舗次第です。そのため数カ月に1回、店舗ごとの販売実績を振り返り、販促物の見直しを行っています。メルトは発売からまだ7カ月ほどですが、販促物の修正はすでに4回行っています」(野原氏)。通常の販促物より修正の頻度が高いそうだ。
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