閑散としていた場所が人気観光地に! パソナ「淡路島移転」と同時に進む、重大プロジェクトの中身:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/6 ページ)
パソナグループが推進する、淡路島への本社機能一部移転。当初の目標としていた1200人を達成した。同社はこれ以外でも、淡路島でさまざまな取り組みを進めている。
リノベした小学校で盛りだくさんのプロジェクト
パソナグループは、2025年春をめどに、有機栽培による自然派ワインの生産を目指す「自然循環型ワイナリー」を開設。観光農園としても運営する計画だ。
淡路島で運営する自社飲食施設や連携する水産加工業者からの食品残さを堆肥化して、ブドウを栽培する。ヤマブドウを改良した「りざん」「龍王」といった瀬戸内海沿岸に向いた特別な品種を採用した。
アドバイザーには、ボルドーBTSA(醸造栽培上級 技術者養成校)でワインを学び、フランスにおける日本人個人ワイナリーのパイオニアである、大岡弘武氏を迎えた。大岡氏は2016年に帰国し、ブドウ育種家の林慎悟氏と岡山市に一般社団法人「おかやま葡萄酒園」を設立。耕作放棄地を活用した、ブドウ栽培からワイン醸造までを推進している。
また、7月3日には、福島県会津美里町で、無農薬・無化学肥料の米栽培に取り組む、イタリア出身のタレント・モデルのパンツェッタ・ジローラモ氏のマネージメント会社「Carry On」と連携協定を締結。健康や観光に優しい有機米栽培を淡路島で実践する、農業教育プログラムを提供する。
Awaji Nature Lab & Resortを統括する、パソナ農援隊・田中康輔社長は、「農業をもっと暮らしに身近なものにしたい」と、施設のミッションを力説。「例えば、チョコザップ(RIZAPグループが手掛ける、低価格のセルフ型ジム)は、行きにくかったジムを気軽に行ける場所にした。農業におけるチョコザップのような存在になることを目指す」と意気込んでいる。
パソナグループでは淡路島に勤務する約300人の社員が、業務の傍ら自社農園で野菜を育てており、“ちょこっと農業”を実践している。
そして、パソナグループは7月11日、最新の施設として、食と健康を追求する産業(同社ではウェルビーイング産業と表現)の人材創出拠点「としまスコーラ」をオープンした。
としまスコーラは、閉校になった旧富島小学校をリノベーション。同社の淡路島事業ではのじまスコーラに次ぐ2つめの学校を改装した施設だ。
このとしまスコーラでは、淡路島の農産物を加工し商品開発をする、同社の島内レストランのセントラルキッチンとしての機能を担う。また、動物性の商品を一切使わない、ヴィーガンスイーツを開発・製造する「ヴィーガンスイーツ研究所」を開設した。
パソナグループの社員として働きながら、地域の資源や食文化から新たな価値を創造し、地域の魅力を発信する「地方創生料理人」1年制の育成プログラム、「Awaji Chef's Scuola(あわじシェフズスコーラ)」も開講した。
としまスコーラには、一般の利用ができるカフェ「Cafe としま」を併設。同カフェは、Awaji Chef's Scuola受講生が、メニュー開発、仕入れ、接客などの店舗運営を一気通貫で学ぶ場所ともなっている。
このように、さまざまな機能を持つとしまスコーラだが、パソナグループの新たなワーケーション拠点でもある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
パソナ「淡路島移転」はどうなった? 3人のシングルマザーが語った「仕事」「教育」「島民の気質」
パソナグループが2020年に淡路島へ本社機能を一部移転すると発表して大きな話題を呼んだ。その後、続々と「移住」が進み、進化を遂げているようだ。実際にU・Iターンした人に話を聞いた。
パソナの淡路島移転計画はどうなっている? 家族で引っ越した社員が語ったリアルな日常
パソナが着々と社員の淡路島移住を進めている。実際に働いている社員はどういったことを考えているのか。現地で増えている商業施設の状況も取材した。




