なぜあなたの企業に人材が集まらないのか 選ばれるための3つのポイント:人材獲得 大競争時代(1/2 ページ)
人手不足が深刻化し、採用難が進む中、企業は人材確保に向けてどのような手を打てばいいのか。求職者に選ばれる企業の特徴とは――。さまざまな事例を通じて、採用がうまく進む企業の特徴を明らかにする。
連載:人材獲得 大競争時代
人手不足が深刻化し、採用難が進む中、企業は人材確保に向けてどのような手を打てばいいのか。求職者に選ばれる企業の特徴とは――。さまざまな事例を通じて、採用がうまく進む企業の特徴を明らかにする。
いま、企業のキャリア採用への意欲は非常に旺盛な状況です。リクルートの転職支援サービス「リクルートエージェント」に寄せられている求人数は、ここ数年、代表的な職種のいずれも右肩上がりで推移しています。
日銀短観で、企業の業況の良し悪しを示す「業況判断DI」と雇用人員の過不足を示す「雇用人員判断DI」を比較すると、2013年ごろまでは業況感と人手不足感が同じような動きをたどっていました。しかし、それ以降は業況感にかかわらず人手不足感が強まっています。
キャリア採用が活況となっている背景には、労働人口減少に伴う構造的な人手不足に加え、社会の変化に合わせた変革の動きがあります。DX、GX(グリーン・トランスフォーメーション)に代表されるように、急速に進展するデジタル化や深刻化する気候変動を踏まえた取り組みや事業創出が企業に求められているためです。
一方、人手不足を解消するため、そして新たな事業を推進するためにキャリア採用を展開しても、望み通りに人材を獲得できている企業は多くありません。従来の採用方針では人材ニーズを満たせないため、これまで採用実績がなかった異業界の人材を迎えるケースが増えています。いくつかの例を挙げてみましょう。
- コンサルティングファームが、ヘルスケア領域の強化を目指し、大手製薬会社のDX推進部門で部長を務めていた人を管理職層の一つであるダイレクターのポジションで採用
- メガバンクが、官公庁出身者を採用。金融の知見・経験がなくても、戦略をプロジェクトに落とし込み、多様な人を巻き込んで事業を推進する力に期待を寄せた
このように業界・職種などの壁を越えた「越境転職」の事例が多く生まれています。
選ばれる企業が押さえる3つのポイント
世の中全体で求人が増えているということは、求職者にとっては選択肢が増えているということです。そこで、企業には、求職者に興味を持たれ、選ばれるための施策が必要となります。企業が押さえておきたいポイントは次の3点です。
(1)求める人材像を明確化する
(2)ターゲットとなる人材が求めることを、自社が提供できると伝える
(3)求職者にとって魅力的な賃金を示す
(1)と(2)が採用に効果をもたらすことは、データでも明らかになっています。
リクルートは2023年3月、人事担当者を対象に、人材マネジメントをテーマとしたアンケート調査を実施しました(アンケート対象は5048人。集計対象は従業員規模30人以上の企業に勤める2761人)。この調査では、求人の詳細化・明確化についての取り組み状況に関する4つの項目について質問しました。
- 採用にあたり、本人が持つスキルや経験を重視しているか
- 自社の「求める人材像」を言語化しているか
- 入社希望者に、仕事に求められるスキルや仕事の評価基準を明確に説明しているか
- 入社希望者に、自社が提供できる成長機会や学習機会、人的ネットワークを説明しているか
上記への回答を算出し、「取り組んでいる」「どちらでもない」「取り組んでいない」の3つのグループに分類しました。その上で「取り組み状況」と「採用の進捗状況」の関係を分析したところ、「採用できている」と回答した割合が最も高かったのは、求人の詳細化・明確化に「取り組んでいる群」で、47.0%に上りました。一方「取り組んでいない群」は約6割が「採用できていない」と回答し、「採用できている」はわずか16.3%にとどまっています。
上記4つの取り組みにより、採用できる確率を高められることが見てとれます。
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