連載
なぜ軽自動車は選ばれるのか 「軽トラック」がじわじわ広がっている理由:高根英幸 「クルマのミライ」(1/5 ページ)
税制優遇があり、装備も充実してきた軽自動車。そもそも国民車構想から誕生したが、安全性や快適性を高めて進化していった。スズキやホンダが高品質な商品をヒットさせた影響も大きい。軽トラックなどは海外でも評価されており、今後も需要が拡大するだろう。
日本の自動車業界は、現在のところほとんどの利益を輸出で稼いでいる。国内需要がないわけではない。しかし、しぼんでいく市場の中で投資には限界がある。それゆえ、利益率の低い商品となり、ユーザーにとっては値引きなどの駆け引きも難しくなっている。
もっとも、コロナ禍や半導体不足を経て、納車が半年から1〜2年も待たされるようになった今では、国内の乗用車販売は値引きよりも納期が優先される商談に変化している。
そのため以前よりも利益率は高くなっている印象だが、実際の収益はディーラーによってさまざまだ。自動車メーカーは空前の利益を出しているが、競争が激しいエリアではディーラーは厳しい。
コストパフォーマンス重視のユーザーは、とっくに普通車を見限り、軽自動車へとシフトしている。軽自動車は普通車とは異なり、自動車税や重量税などの税制面で依然として大きな優遇措置があり、近年は装備も普通車並みで快適なクルマがそろっている。
そもそも軽自動車が誕生したのは、クルマが高価で庶民には手が届かない存在だという問題への対策だった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- セダンが売れる時代はもう来ないのか クルマの進化で薄れていく魅力
SUVやミニバンと比べて、セダンの人気は衰退している。目新しさが魅力だったSUVも走行性能などが高められたことに加え、ドライバーの意識も変わっている。スポーツカーも衰退しているが、所有して運転する楽しさを追求できるクルマも必要だ。 - やっぱりジムニーなのか? キャンプブームが終わっても支持されるクルマ
キャンプブームは落ち着いたと言われるが、キャンピングカーやアウトドアに使えるクルマの需要はあり、車中泊も定着した。大型車だけでなく、シエンタやジムニーシエラ、軽バンといった車種も支持されている。車内空間を有効に使うユーザーもさらに増えるだろう。 - スポーツカーはいつまで作り続けられるのか マツダ・ロードスターに見る作り手の矜持
スポーツカーが生き残るのが難しい時代になった。クルマの楽しみ方の多様化や、規制の厳格化が背景にある。一方、マツダ・ロードスターの大幅改良では、規制対応だけでなく、ファンを納得させる改善を実施。多様化が進む中でビジネスもますます複雑になるだろう。 - 名刺の裏に金額を書いて「せーの」で出してきた クルマ買い取りの“入札制度”が面白い
中古車市場は、業者オークションの台頭と買い取り専門店の増加で大きく変化した。今、買い取り業者はどのようにクルマを査定して買い取っているのか。筆者が一括査定を申し込んでみたところ…… - なぜテールランプがまぶしいクルマが増えているのか クルマづくりに欠けている視点
前走車のテールランプをまぶしく感じることが増えた。平時にリアフォグランプを点灯するのは問題外だが、ブレーキランプの規制変更によるデザイン性の追求という要因もありそうだ。環境性能や安全性だけではなく、周囲に配慮する工夫もますます必要になるだろう。