2015年7月27日以前の記事
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なぜ軽自動車は選ばれるのか 「軽トラック」がじわじわ広がっている理由高根英幸 「クルマのミライ」(5/5 ページ)

税制優遇があり、装備も充実してきた軽自動車。そもそも国民車構想から誕生したが、安全性や快適性を高めて進化していった。スズキやホンダが高品質な商品をヒットさせた影響も大きい。軽トラックなどは海外でも評価されており、今後も需要が拡大するだろう。

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軽自動車というモビリティーが再評価されている

 近年は軽トラックの実力が世界に広まりつつある。海外の牧場など、広大なスペースで足車にしているユーザーが急増中なのだ。「軽く、小さく、走破性が高く、荷物も積める」という軽トラックの利点と、小さなボディというかわいさが相まって、動画投稿サイトなどで大人気となっている。

 ホンダのアクティも海外で人気が高まっており、すでに十分使われた中古車が新車以上の価格で取引されるなどの現象も起こっている。以前は車幅を増やしたり、エンジン排気量を上げたりした海外専用モデルが設定されていたが、最近は軽自動車規格のまま輸出や現地生産をするケースもある。


軽トラックも最近はカラフルなボディカラーをそろえ、先進の安全装備を備えるようになった。室内空間を拡大したモデルもあり、カスタムして楽しむユーザーも増えている

 国内でも、小さく軽いという軽自動車カテゴリーを利用したスポーツカーの人気が再燃し、ジムニーなどクロスカントリーモデルも高い人気を維持しているが、この話題は広がりすぎるので、また別の機会に取り上げたい。

 石破新政権が誕生し、今後は軽自動車関連の税制が見直されるかもしれない。普通車と同じとはいかないまでも、軽自動車税などが再び引き上げられる可能性もある。

 可処分所得が増えない現在、将来の不安もあって軽自動車ユーザーが普通車へと乗り換える可能性は低い。この先もジワジワと普通車との維持費の差は縮まっていくだろうが、賢い日本のユーザーは軽自動車を選び続けるだろう。

 この先も軽自動車は、安全性も経済性もますます高められていくに違いない。日本が生んだこのユニークなカテゴリーは、日本から世界へジワジワと需要が広がりつつあるのだ。

筆者プロフィール:高根英幸

 芝浦工業大学機械工学部卒。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、テスターとして公道やサーキットでの試乗、レース参戦を経験。現在は日経Automotive、モーターファンイラストレーテッド、クラシックミニマガジンなど自動車雑誌のほか、Web媒体ではベストカーWeb、日経X TECH、ITmedia ビジネスオンライン、ビジネス+IT、MONOist、Responseなどに寄稿中。著書に「エコカー技術の最前線」(SBクリエイティブ社刊)、「メカニズム基礎講座パワートレーン編」(日経BP社刊)などがある。近著は「きちんと知りたい! 電気自動車用パワーユニットの必須知識」(日刊工業新聞社刊)、「ロードバイクの素材と構造の進化」(グランプリ出版刊)。


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