LINEヤフー動画事業の27歳エース社員 「アプリDL数」前年同期比3倍を実現、その手腕は?:教えて!あの企業の20代エース社員(1/2 ページ)
新卒から5年間、LINEヤフーの動画事業で奔走してきた27歳エース社員がいる。現在はLINE VOOMに携わっているが、新卒配属されたGYAO!では、新規アプリDL数を前年同期比で3倍にした。エース社員の手腕を取材した。
連載:教えて!あの企業の20代エース社員
あの企業の20代エース社員にも「新卒1年目」の頃があった。挑戦、挫折、努力、苦悩――さまざまな経験を乗り越えて、今の姿がある。企業に新たな風を吹き込み、ビジネスの未来を切り開く20代エース社員の「仕事」に迫る。
動画コンテンツは誕生後、瞬く間に生活者の必需品となった。YouTubeが登場したのが2005年、世界最大の映像配信事業者であるNetflixは2007年生まれだ。そして、2023年3月に幕を閉じた、ネット動画の老舗「GYAO!」は2005年に産声を上げていた。
市場の黎明期にサービスを立ち上げたことになる。現代の動画コンテンツによる影響力を考えると、その先見性は否定できない。そこから多くの競合が生まれ、コロナ禍を経て市場が爆発的に拡大。多くの競合が誕生し、外部環境が目まぐるしく変化する市場と化した。
木藤由梨咲さんは2020年4月、GYAO(※)をファーストキャリアに選んだ。「自分自身がユーザーの立場に立てるサービスであることや、人を大事にする会社に入りたいと考えていました。GYAOからは一人一人の学生の人生に向き合う意識が感じられました」という。
LINEヤフー株式会社 VOOM事業統括本部 VOOM事業本部 イノベーション戦略チーム 木藤由梨咲さん。(※)すでにLINEヤフーの子会社ではあったが、採用自体は切り分けてGYAO単体で行われていた。
入社後は、SNS領域の部署で主にYouTubeからの送客体制の構築を担当することに。その結果、GYAO!アプリの新規ダウンロード数はYoYで330%を達成した。現在は、動画プラットフォーム「LINE VOOM」に携わる。
コロナ禍でのステイホームという追い風があったのは事実だが、動画コンテンツ戦国時代にGYAO!でどのように数字を伸ばしたのか。また、動画プラットフォームサービスとしてはかなり後発なLINE VOOMが持つ課題や可能性をどう考えているのか、取材した。
前例のない仕事 どのように進めて成果を出したのか?
木藤さんの目標は、既存のアプリユーザーの訪問率向上と新規のアプリダウンロード数をYouTube経由で増加させることだった。
「目標は決まっているのですが、やることは決まっていない状態でした。Xやインスタグラムで展開している施策をYouTubeにも横展開できないか考えたり、社内でYouTubeチャンネルを運営している人に相談したり、さまざまな手段を探っていました」
YouTube経由で送客するためには、まずYouTube上でさまざまな人の目に触れることが不可欠となる。YouTubeのコンテンツと相性のいいGYAO!の動画を編集して切り抜きとしてアップロードしたり、YouTube内で急上昇ワードやYouTuberに関連するワードをハッシュタグとして活用したりした。権利の問題でYouTubeにアップロードできない動画も少なくなったため、限られた動画にどう拡散性や送客力を持たせるのかについては苦労したが、ハッシュタグによる効果は大きかったという。
その他、これまでXやインスタグラムで実施した施策の横展開も奏功した。もともとGYAO!では、女性には恋愛ドラマや男性アイドル関連コンテンツの人気が高く、男性はアニメや映画、バラエティコンテンツの人気が高かった。そこで、それぞれの人気コンテンツに注目し、女性向けにはアイドルで、男性向けにはバラエティコンテンツで訴求することに。
GYAO!は当時、テレビで放送していたアイドルのオーディション番組「Produce 101 Japan」を再放送していた。そのタイミングで多くの女性ファンが登録したが、アイドルグループのデビューとともにGYAO!から離れてしまうという問題があった。そこで、そのアイドルグループのオリジナルコンテンツを配信することに。オリジナルコンテンツの切り抜きをYouTubeに流し、休眠していたユーザーの呼び戻しに成功した。
男性向けとしては、年末の「M-1グランプリ」をコンテンツとして活用。もともとM-1の「大反省会」をGYAO!で独占放送していたが、YouTubeでは出演者のコメント動画を配信。世間の関心やYouTube内でのトレンドに後押しされ、アプリダウンロードにつながった。
さまざまな施策を展開し、YoY330%増(2020年4〜9月期と2021年同期を比較)という数字を作り上げた。木藤さんは、当時を以下のように振り返る。
「1年目は伸び悩みました。難しかったです。そもそもどういった戦略で目標を達成するのかの道筋が見えていない状態だったのと、切り抜き動画用の編集業務も自分でやっていたので、手を動かしながら戦略を考えなくてはいけなくて大変でした」
実際に成果が出始めたと実感できたのは1年目の終わり頃だったという。「2年目からはコンテンツ制作に対する考え方の基盤は整っていたので、去年成果が出たことは継続しつつ、どんな新しいチャレンジをするかを意識して手を動かしました」
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