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人事選考は通るのに……ネット企業A社が採用に苦戦したワケ:人材獲得 大競争時代(2/2 ページ)
採用ポジションの仕事内容・役割を具体化しても、採用が進む企業と、そうではない企業がある。その差は、人事が事業部門、すなわち「現場」と協働できているかどうかにあると筆者は指摘する。
データが裏付ける「人事と事業部門」協働の重要性
人事と事業部門の一体化が重要であることは、データにも表れています。
リクルートでは、2022年度にキャリア採用をした企業の人事担当者840人を対象に、採用活動に関する調査を行いました(2023年3月実施)。
キャリア採用は一般的に、「採用戦略の立案」→「採用予算の管理・運用」→「募集要項の考案・作成」→「採用手法の選定」→「応募者の選考(書類選考・面接・合否確定)」→「内定出し」→「内定者のフォロー」というプロセスで進みます。
このうち、「採用戦略の立案」に現場の事業部門が関わっている企業の方が、そうでない企業と比べ、「採用がうまくいっている」と回答した割合が14.4ポイント高い結果となりました。
また、「応募者の選考」に事業部門が関わっている企業の方が、そうでない企業よりも「採用がうまくいっている」と回答した割合が6.5ポイント高かったのです。
人事だけが孤軍奮闘する採用活動では、採用ハードルが高まる転職市場で求める人材を獲得することは難しいと言えます。キャリア採用を進めるためには、企業全体で目的・目標を共有し、密に連携して採用に取り組む姿勢が求められます。
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