「あっという間」に辞めていく若手 どう接するのが正解か?(1/2 ページ)
新人・若手社員のリテンションは、以前から大きな人事課題の1つです。ただ、現在の新人・若手、つまり1990年代後半以降に生まれたZ世代に関しては「どうやって早期離職を防げばよいか分からない」「気持ちや考えをよく理解できない」といった人事・上司の皆さんの悩みの声が、これまで以上に多くなっています。
人材不足の状況下で、多くの企業が採用に力を入れるのと並行して、リテンション(人材流出防止)にも注力するようになってきました。
新人・若手社員のリテンションは、以前から大きな人事課題の1つです。ただ、現在の新人・若手、つまり1990年代後半以降に生まれたZ世代に関しては「どうやって早期離職を防げばよいか分からない」「気持ちや考えをよく理解できない」といった人事・上司の皆さんの悩みの声が、これまで以上に多くなっています。
そこで本記事では、ともに働く若手社員にいきいき活躍してもらうために、人事や上司は何をどうしたらよいのかをお伝えします。
若手を「生かす」視点を持つことが重要
最初に結論からお伝えすると、新人・若手のリテンションには、皆さんが彼らを「生かす」視点を持つことが大切です。もちろん、若手には経験不足で未熟な面があります。行動や言動にフラストレーションを感じることもあるでしょう。
しかし、これから詳しく説明しますが、実は人事や上司の皆さんが若手から学べることも多くあるのです。「教える」だけではなく若手の特徴を引き出し生かす姿勢も持つことで、組織や人事制度などをアップデートするきっかけとなるケースもあります。つまり、若手のリテンションに向き合うことは、人事・上司の皆さんにとっても、ある意味でチャンスといえると考えています。
例えば「もっと仕事にやりがい・意義を感じたい」とで悩んでいる若手がいるとします。それに対し「若手のうちからそんなことを考えるのはわがままだ」と注意するのは簡単です。
しかし、頭ごなしに否定してしまうと、若手は本音を出しにくくなり、コミュニケーションがうまくいきません。モチベーションを引き出し、エンゲージメントを高めるためには、まず発言の真意を確認することが大切です。
真意が分からないときは「どうしてそう思ったの?」と聞いてみてください。問いをきっかけに対話を続け、考えや思いを深掘りしていくのです。若手から、皆さんが想像もしなかったような答えが返ってくることもあります。
若手の特徴や強みを「知る」ことから始めよう
若手を「生かす」ためには、まず本人の特徴や強みを「知る」ことが大切です。そこで、私たちリクルートマネジメントソリューションズが行った「新人・若手の早期離職に関する実態調査(2023年)」の結果をいくつか紹介します。なお、回答者は社会人1〜3年目(大学・大学院卒のみ)の435人です。
(1)半数以上が「会社を辞めたい」と思ったことがある
これまでに会社を辞めたいと思ったことが「ある」(58.8%)が、思ったことが「ない」(41.2%)を上回りました(図表1)。新人・若手に対して、何らかのリテンション施策が必要であることを示唆する結果です。
(2)辞めたい理由は「仕事にやりがい・意義を感じない」(27.0%)が最多
会社を辞めたいと思った理由のうち、影響の大きかったものを最大2つまで選んでもらいました(図表2)。「仕事にやりがい・意義を感じない」(27.0%)が突出して多く、その次に「給与水準が満足できない」(19.0%)という結果になりました。新人・若手は、仕事にやりがいや意義を求める傾向があると言えそうです。
その背景には、新人・若手が個性ややりがいを重視する教育を受けてきたこと、社会貢献意識が高まっていること、SNSを通じて多様な価値観や成功事例に簡単に触れられるようになったことなどがあると考えられます。若手に仕事のやりがい・意義を感じてもらうことが、リテンションのポイントの1つです。
(3)「プライベートの時間が確保できる、さらに充実させる」(24.4%)ことを望む者が多い
「仕事で、このためなら労力をかけてもよいと思うもの」については、「プライベートの時間が確保できる、さらに充実させる」(24.4%)と「高い収入を得る」(23.0%)という回答が特に多く、少し離れて「自分のやりたいことができる」(16.8%)が続きました(図表3)。
若手は、プライベートの時間を重視したい傾向の人も多いことが分かります。図表4は、理想的なワーク・ライフバランスについて、新人・若手と上司・育成担当者に分けて分析した結果ですが、新人・若手の方が、プライベート重視派が多いことが見て取れます。
上司や育成担当者がプライベートは仕事で一人前になってから充実させるものと考えるタイプの場合、プライベートを大切にする新人・若手にギャップを感じてしまうこともあるかもしれません。しかし、新人・若手も決してやる気がないわけではありません。プライベートを大切にしつつ、仕事にも前向きに取り組みたいという場合が多いのです。
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