「自分で考え、動ける社員」を作る──リコーは何をしているのか(1/3 ページ)
「リコーは2020年にOAメーカーからデジタルサービスの会社になると宣言している」――リコーの長久良子CHROは、自社の人的資本戦略に変革が必要になった理由をこのように話す。リコーが2020年から進めてきた、自律的に考えて提案できる社員を育む人的資本戦略と、見えてきた課題感とはどのようなものか。
「リコーは2020年にOAメーカーからデジタルサービスの会社になると宣言している」――リコーの長久良子CHROは、自社の人的資本戦略に変革が必要になった理由をこのように話す。
リコーが2020年から進めてきた、自律的に考えて提案できる社員を育む人的資本戦略と、見えてきた課題感とはどのようなものか。Works Human Intelligenceが開催した「COMPANY User Summit 2024」での講演内容を紹介する。
自律型人材の育成 どんな人的資本戦略で挑むのか
リコーは、グループ会社も含めると社員数約8万人、連結売上高2兆円超、約200の国と地域に242の関連会社を展開するグローバル企業だ。
ペーパーレスという時流を捉え、複合機を提供するOAメーカーからデジタルサービス提供の会社へ変わることを2020年に宣言している。この変革に伴い人や組織、文化の変化も求められた。
「オフィス機器を販売していただけのときには、顧客が求めるものが明確だった。しかし、デジタルサービスにはさまざまなソリューションがあり、顧客の状況やニーズも異なる。その多様性にその場で考えて提案するには、知識だけでなく、自律的に考えて提案していくことが求められる。そのため、自律型人材が必要になってくる」(長久氏)
ビジネスの内容も、必要なスキルも変わる。これに対応するため、会社はビジネスニーズから育成計画を策定し、リスキリング研修を提供する。トップダウンの取り組みだ。
一方の社員は、自律的に研修や資格取得制度などを活用し、スキルを習得する。これをボトムアップの動きと位置付ける。習得後の社員に対しては会社が再配置したり、社員が社内公募に応募するなどして異動したりする。
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