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自治体の「DX推進計画」が失敗するのはなぜ? 評価指標を生成AIで正しく設定する方法(2/3 ページ)

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評価指標「KGI」と「KPI」の混同を避ける

 ここでアクションプランの評価指標について整理しましょう。評価指標にはKPIとKGIの2つがあります。

 KPI(Key Performance Indicator)という指標は、皆さんも耳にしたことがあるでしょう。一般的には重要業績評価指標という呼び方をしますが、私は単に「取り組み指標」という呼び方をします。

 では、KGI(Key Goal Indicator)という指標は、ご存じでしょうか? 経営目標達成指標という呼び方をするようですが、これだとKPIと区別がつきませんので、私は「成果指標」という呼び方をします。

 一見、似ている指標ですが、大きな違いが一つあります。それは、職員自身がこの指標の達成をコントロールできるか否か、です。

 この図は、自治体における活動が社会にどのようなインパクトを与えていくかについて示したものです。


自治体の業務による価値の連鎖

 自治体における活動は、インプット→アクティビティ→アウトプット→アウトカム→インパクトの順番に価値が連鎖しています。そして、アウトプットとアウトカムとの間に境界線があり、組織内(自分たちでコントロール可能な世界)とステークホルダ(組織の外でコントロールできない世界)に分かれています。

 計画におけるビジョンとは、社会をどのように変化させていきたいかというインパクトと関係があります。このインパクトを定量的に評価するために、アウトカム(成果)を測定するのですが、その際の指標がKGIです。言い換えると「ビジョンを定量的に評価するための指標」となります。

 これは職員が直接コントロールできる指標ではありません。最終的にそのようになった、という状態でしかないのです。

 一方、組織内では自分たちの資源(職員の労働力や予算など)を活動に投入して(インプットとアクティビティ)、アウトプット(結果)を得ます。アウトプットの大きさはインプットやアクティビティによりコントロール可能で、これを測定する際の指標がKPIです。言い換えると「KGIを達成するために、自分たちが何をどれだけ取り組んだのかを評価するための指標」となります。

 筆者が関与している自治体で、KGI、KPIの評価をする際、KGIが達成できていないことについては、厳しく問いただしません。一方、KPIが達成できていないことについては、アクティビティの内容や規模などの要因を詳しく確認します。

 評価に苦しんでいる計画は、多くの場合KGIとKPIを混同させていたり、そもそもKGIが設定されていないことが多いです。

 例えば、マイナンバー制度普及のために、マイナンバーカードの交付率をKPIとして掲げている自治体がありますが、交付率は市民の方がカード取得を選択したことによる成果であり、職員側で交付率をコントロールすることはできません。

 それにもかかわらず、交付率が伸びないことで叱られたりするのでは、計画自体を憎む気持ちさえ生まれてくるかもしれません。

 この場合、交付率をKGIとして目標を掲げることは大切です。そして、KPIは交付率を伸ばすために、何をどれだけ取り組むのかを設定します。設定したからには必ずやり抜くようにすべきです。言い換えると、最初からできないKPIを設定しても意味がありません。

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