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『週刊少年ジャンプ』から大ヒット作が生まれる理由『漫画ビジネス』(3/3 ページ)

『週刊少年ジャンプ』からさまざまなヒット作が生まれていますが、なぜ優秀な漫画家が集まるのでしょうか。その背景に……。

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一朝一夕にはできない裾野


漫画ビジネス』(著・菊池健/クロスメディア・パブリッシング)

 この才能が集まる仕組みこそ、何十年かけてジャンプが培ってきた「ヒット作品をつくる」主原料と言えると思います。大ヒットしている作品を、ジャンプに限らず、作家がデビューしていく過程から丁寧に追っていくと、そのレーベルの才能だまりから丹念に育てられた作家が描いているケースが多いのです。

 つまり、この才能だまりこそ特定の編集部からのみ、大ヒット作品が生まれる貴重な資産と言えるでしょう。

 裏を返せば、才能の原石たる漫画家志望者が「そのレーベルで描いてみたい」と思うブランドがあるということが、まずもっとも重要な成功の要素なのです。このブランドの中には「大好きな作品がある」「憧れる作家がいる」「大ヒットしている作品を連載している」という厳然たる実績があると思います。これは週刊少年ジャンプをはじめ、現在もヒット作品を作り続けている特定の編集部にしかありません。

 漫画の実力は、才能だけではなく、積み重ねてきたものや、体力、情熱、本人の置かれた環境、情報感度やあらゆることへの解像度など、本当にたくさんの要素があり、それらが大きく作用します。しかし、同時に長く培われてきた環境や、編集部側の組織・文化・ブランドなどが同じように強く作品に作用しています。

 これは一朝一夕にはできない時間が必要な裾野だとご理解いただけるかと思います。

著者プロフィール:菊池健(きくち・たけし)

一般社団法人MANGA総合研究所所長/マスケット合同会社代表

 1973年東京生まれ。日本大学理工学部機械工学科卒。商社、コンサルティング会社、板前、ITベンチャー等を経て、2010年からNPO法人が運営する「トキワ荘プロジェクト」ディレクター。東京と京都で400人以上の新人漫画家にシェアハウス提供、100人以上の商業誌デビューをサポートし、事業10周年時に勇退した。同時に、京都国際マンガ・アニメフェア初年度事務局、京まふ出張編集部やWebサイト「マンナビ」など立ち上げた。その後、マンガ新聞編集長、とらのあな経営企画、SmartNewsマンガチャンネル、コミチ営業企画、数年に渡り『このマンガがすごい!』(宝島社)の選者を務める。クリエイター支援やデジタルコミックの事業での事業立ち上げ、営業、企画、イベント、編集、ライティング等を得意とする。noteにて毎週日曜日に「マンガ業界Newsまとめ」を発信。共著『電子書籍ビジネス調査報告書2023』(インプレス総合研究所)のウェブトーンパートを担当した。2024年3月に、一般社団法人MANGA総合研究所を設立。


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