なぜ「ライス残し」で炎上したのか? 家系ラーメン店が抱える深いジレンマ:スピン経済の歩き方(3/8 ページ)
無料サービスで希望したライスを食べずに帰った客に対してラーメン店が投稿した内容が話題になっている。なぜ店側は、ここまで怒りをあらわにしたのだろうか。
ライスを有料にできない事情
チャーシュー、ホウレンソウ、のりに加えて、米も大幅に値上がりする中で、「無料ライス」の提供を続けることはかなり大変だ。そういう身を削る努力を必死にしている中で、ライスを残されてカチンときてしまったのではないかという。
「いやいや、それならライスを有料にすればいいでしょ。食べたい人が注文するんだから、もったいないことをする客も少なくなるでしょ」
そう思う人も多いだろう。確かに、家系ラーメンの総本山と呼ばれている「吉村屋」はライスが有料だ。公式Webサイトでは「130円」とある。そのように総本山に合わせる形にすれば、客側も金を払った分、「もったいない」という心理が働いて平らげる可能性も高いはずだ。
ただ、前出の記事内に登場する家系ラーメンの店主によれば、それは難しいという。いわゆる家系の「直系店」と呼ばれる人気店ではない場合、「ライス無料」にしないと明らかに客足が落ちて、売り上げに響いてしまう。
つまり、「ラーメンを食べてもらうためにタダでライスを提供し続けなくてはいけない」というラーメン職人としてのプライドを傷付けられるような「ジレンマ」があるというのだ。
確かに、そんなストレスを抱えた店主ならば、客の「ライス残し」にあれほどまでキレてしまうのも無理はないかもしれない。
ただ、神奈川県民として家系総本山の「吉村家」をはじめ、かれこれ30年近く家系を食べてきた客の立場で言わせていただくと、「無料ライス」に執着している家系ラーメンには、もう1つ別の理由があるのではいかと思っている。
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