なぜ「ライス残し」で炎上したのか? 家系ラーメン店が抱える深いジレンマ:スピン経済の歩き方(5/8 ページ)
無料サービスで希望したライスを食べずに帰った客に対してラーメン店が投稿した内容が話題になっている。なぜ店側は、ここまで怒りをあらわにしたのだろうか。
「まくりのお供」として登場した無料ライス
こういう事情があるのでラーメン店としては、客にとにかくスープを飲み干してもらいたい。しかし、家系ラーメンはややハードルが高い。店によってバラつきはあるが、基本的に「豚骨しょうゆベース」の濃厚なスープなので、人によっては「しょっぱい」「脂っぽい」と感じて「まくり」が難しい。
そこで「まくりのお供」として登場をしたのが「ライス無料」だ。
家系ラーメンに限らずだが、最近のラーメン店の中には「◯◯ラーメンのおいしい食べ方」のような案内が店の壁に貼られていたり、カウンターに置かれていたりすることが多い。それを見るとだいたい最初は「そのまま食べる」、次に「調味料」「ニンニク」「辛味噌(みそ)」などトッピングで味変。そしてなんやかんやとあって、最後はライスを入れて「雑炊」のようにして食べることを推奨していることが多い。
筆者の地元の家系ラーメンも、「ライス無料」でセルフサービスのスタイルだ。炊飯器には「食べ残しが多い場合は料金を請求します」という警告文があるのだが、一方で店内には至る所に、「シメにライスとともにスープを最後の一滴まで楽しむ」なんて感じのアナウンスがなされている。
このように「どうにかして客にスープを飲み干させよう」というのは、コスト削減を徹底している大手チェーンのほうがもっと露骨だ。
例えば、家系ラーメンの中には「資本系」として区別されている「横浜家系ラーメン町田商店」がある。現在、全国で156店舗(2024年10月時点)を展開しており、店舗によってばらつきはあるが「ライス無料」を大きく打ち出している店が多い。
しかも、それだけではない。「完まく」(完全まくり)と呼ばれる、スープを飲み干した客は「新完まくアプリ」というアプリでスタンプを集められる。これを10個貯めた客には、ラーメン1杯無料のクーポンを提供するほか、1年間トッピングを無料にしている。
また同じく、全国で51店舗を運営している(公式Webサイトの店舗案内より)「横浜家系ラーメン 魂心家」も「ライス無料」を打ち出すとともに、「まくり証明書」というものを発行している。スープを飲みほした客に提供しているもので、22枚貯めた人にはTシャツやどんぶりなどオリジナルグッズをプレゼントしている。
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