米AmazonやGoogleが欲する「決済データという宝の山」 苦しみながらも挑む、狙いは(2/2 ページ)
米AmazonやGoogleなどのテック大手企業が、決済分野への参入を進めている。具体的に、どのような取り組みを進めているのか。どんな目的があるのか。
AmazonとGoogleが狙う「データという宝の山」
Amazonはインド準備銀行と提携してAmazon Payを世界最多の人口を持つインドに導入。また、メキシコのKueskiと提携してBNPLサービスをメキシコで提供している。
米国では、MetaやShopify、BigCommerceといった企業が自身のプラットフォームにAmazonのチェックアウト機能(Amazon Pay)を取り入れている。「これによりAmazonは、独自のフィンテックソリューションの開発や展開に伴うリスクを回避している」とケネディ氏は指摘した。
Googleも独自の提携関係を築いており、健康保険会社Humanaと協力してGoogle Walletに健康保険カードを追加した。
「Googleの特許からは、同社が消費者の金融生活への関与をさらに進めていることが伺える」とケネディ氏は解説。5月に認可された特許により、消費者はSNSのメッセージアプリで送金ができるようになり、例えば友人に金銭を送る際、金額を含むメッセージを送信し、特定の記号を入力することで即座に送金が完了する仕組みである。
また、7月に認可された別の特許では、Googleの顧客がビデオチャット中に特定のフレーズを話すだけで支払いが完了する仕組みが可能になる。
こうした動きにより、AmazonとGoogleは貴重な資産であるデータを得ることができる。
これらのサービスには、Humanaの場合のようにユーザーの医療情報を含むデリケートな情報も含まれているため、慎重に進めるだろうとケネディ氏は話す。
代わりに、AmazonとGoogleは顧客ロイヤルティやリワードプログラムに注力し、データの収益化を図ると予想される。
「Googleは2024年5月、ユーザーがどのように支出すれば最大限のリワードを得られるかを示すGoogle Pay機能を導入しました」とケネディ氏は述べた。ケネディ氏はこうした機能が顧客ロイヤルティを高め、さらなる支出を促すものだと指摘。テック企業がデータ収集を進める中でさらに多くの機能が登場するだろうと予測している。
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