「倍々ゲーム」のバーガーキング 人気の背景と「600店舗」に向けた死角とは(3/4 ページ)
近年、好調のファストフード業界の中で特に存在感を発揮しているバーガーキング。あらためてその要因を探るとともに、さらなる急拡大に向けた死角を解説する。
相対的に値ごろ感が上昇したのも追い風に
バーガーキングの肉質や味に対する評価は、直火焼きに由来する。マクドナルドとバーガーキングは両者ともビーフ100%のパティを使っているが、バーガーキングでは自前の「ブロイラー」と呼ばれる機械でパティを直火焼きしている。直火でできた焦げ目が肉の香ばしさと旨味を引き立てているのだ。
従来のバーガーチェーンを100円台の回転寿司に例えるなら、バーガーキングは回転寿司と本格的な寿司店の中間に位置する「グルメ回転寿司」とでもいえようか。それでいてセットの価格帯が200〜300円程度しか変わらないのなら、質を求める客はバーガーキングに流れるのは納得だ。デフレ経済下では価格帯がネックだったものの、近年は値上げが続き、マクドナルドの値ごろ感も薄れており、バーガーキングに追い風になっている。
巧みなSNS戦略で「若返り」に成功
近年の巧みなSNS戦略も、知名度を向上させるとともに規模拡大で一役買っている。2020年にマクドナルド秋葉原昭和通り店が閉店した際は、近隣の店舗に「22年間たくさんのハッピーをありがとう」という垂れ幕を掲げ、マクドナルドを称えるような文章を掲示した。――と思われたが、文章の左端を縦読みすると「私たちの勝チ」となっており、話題を呼んだ。
この春に「バーガーキングを増やそう」キャンペーンを実施したのも記憶に新しい。バーガーキングにふさわしい物件の情報を消費者から集め、実際に出店が決まったら情報提供者に10万円を贈呈するというキャンペーンである。こちらもSNSで話題となり、同期間に7万8000件の情報が寄せられ、実際に12店舗の出店が決定している。
こうした施策について、バーガーキングは自ら積極的に発信するのではなく、あくまで「ツッコミどころ」を用意し、消費者が面白がり拡散するようなスタイルを貫いている。時代に即した施策が効果を発揮したのか、もともとのコアなファン層は40代男性だったところ、現在は20〜30代へと若返りを果たしているという。
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