「そんなことで!?」 部下の退職理由に困惑……“もったいない離職”を防ぐには(2/2 ページ)
従業員が現在の会社・職場にいる意味が見つかる可能性があるにもかかわらず、早期に見切りを付けて辞めてしまう「もったいない離職」が、あちこちの会社で起きています。中には「そんなことで?」と耳を疑いたくなるようなことを真剣に悩み、退職につながってしまうケースも。もったいない離職を防ぐ1on1コミュニケーションの工夫についてお伝えします。
「悶々」「窮々」なワークメンタリティを改善する
1on1は、もったいない離職を防ぐ上で有効な施策ですが、ただ漫然と実施すればよいというわけではありません。1on1は、上司がコミュニケーションを工夫して効果を高めましょう。特に相手の「気持ち」と「キャラクター」に寄り添うことが重要です。
まずは「気持ち」について詳しく説明します。働く際の気持ち「ワークメンタリティ」を、「充実・懸命・淡々・悶々・窮々」の5段階に分けて考えます。最初の2つがポジティブな状態、真ん中の淡々がどちらでもない状態、そして後の2つがネガティブな状態です(図表1)。
ワークメンタリティを捉える上で重要なのは、やりがいと安心感です。自分なりの「やりがい」をつかめているか。「安心感」を持つことができているか。この2点で評価できます。
やりがいとは具体的に、仕事や組織への共感を持ち、自分なりに「こうしたい」という当事者意識が湧いていて、周囲に感謝されることで自信を付け、今の自分と仕事への誇りが芽生えていることを指します。
「悶々」「窮々」のゾーンにいる人たちは反対に、仕事や組織への共感を見失っている状態、仕事に自分なりの工夫を加える余地がない状態、決まったやり方や考え方を押し付けられている状態、誰も見てくれず褒めてくれない状態にあります。
安心感とは、自分を認めてもらえること、言いたいことを受け止めてもらえること、言いたいことを分かってもらえることを指します。「悶々」「窮々」の人たちは、存在を無視されたり否定されたりしている状態、言いたいことを受け止めてもらえない状態、分かってもらえない状態にあります。
もったいない離職を減らすためには、1on1を通して、こうした「悶々」「窮々」の人たちのワークメンタリティを改善することが肝要です。詳しくは後編記事で説明します。
1on1の際は4種類の「キャラクター」によって関わり方を変えると効果的
1on1の際に相手の「キャラクター」を踏まえると、有効なコミュニケーションのアプローチが分かります。
好むコミュニケーションの取り方が、気持ち重視なのか、合理性重視なのか。課題への取り組み方が、ゴールに向かい自分で考えて進めたいのか、一歩ずつ着実にステップを踏みたいのか。
この2軸で4象限に分けたのが、キャラクターの4分類です(図表2)。「創造重視タイプ」「結果重視タイプ」「調和重視タイプ」「秩序重視タイプ」の4タイプに分けることができます。
「創造重視タイプ」は、チームで一体となってゴールに向かいたいと思っており、新しさ・面白さ・アイデアを重視する傾向があります。思い・ビジョン・理念にひかれる人たちです。
「結果重視タイプ」は、高い目標に最短距離で到達したいと思っており、成果と合理性を優先します。自身の成長にとって意味があることに興味を持ちます。
「調和重視タイプ」は、皆で話し合って進めたいと思っており、皆の気持ちや皆の役に立っていることを重んじます。温かい気持ちや感謝を大切にします。
「秩序重視タイプ」は、自分の役割と手順を明確にして着実に進めたいと思っており、責任を果たすことや自分のなかでの一貫性や納得感を指針としています。積み上げ感と経験を生かせることにやりがいを見いだします。
1on1の際は、4種類のキャラクターによって関わり方を変えると効果的です。後編記事では、「ワークメンタリティ」と「キャラクター4分類のタイプ診断」を用いて、具体的に1on1コミュニケーションでどのような工夫をすればよいかを紹介します。
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