「無人餃子」閉店ラッシュの中、なぜスーパーの冷凍餃子は“復権”できたのか:スピン経済の歩き方(3/7 ページ)
コロナ禍で店舗数を伸ばしていた「餃子無人販売店」が苦戦している。一方で好調なのは……。
コロナ禍で「無人餃子」が勢力を拡大、しかし……
火付け役の「餃子の雪松」も2018年9月に1号店を誕生させると、その味のクオリティーもさることながら、24時間いつでも購入できる便利さからじわじわとファンを増やし、それがコロナ禍のステイホームで大ブレーク。つまり、スーパーの冷凍餃子の成長が踊り場になった隙をついて、「無人餃子」が勢力を拡大していった、という構図だ。
それがここにきて「無人餃子」があからさまな苦境に陥っている。そのタイミングで、食品業界紙に以下のような記事が出るほど冷凍餃子が好調ならば、「客が奪われている」と見るべきではないか。
『【速報】味の素冷凍食品、「ギョーザ」復権し出足好調』(日本食糧新聞 2024年7月9日)
なぜここにきてスーパーの冷凍餃子は「復権」できたのか。一つは、最大手で業界をけん引している味の素が「顧客の声に真摯(しんし)に向き合う」という普通の企業なら腰が引けてしまうことに乗り出したことが大きい。
スーパーの冷凍餃子をよくつくっている人なら分かると思うが、「水なし・油なし」さらに「フタなし」などと掲げている商品で説明書き通りにやっても、うまく焼けないことがある。焼きむらができ、底はパリっと焼けても上のほうがまだ凍っていたり、逆に火加減やフライパンによっては焦げ付いて、餃子の皮が取れてしまうなんてこともある。
このようなややネガティブな声、ストレートにいえば「文句」というものに対して普通、食品メーカーはあまりまともに取り合わない。調理環境など個々の事情が影響している場合もあるので、1つ1つ取り合ったらキリがないからだ。だから、「調理方法をもう一度よくご確認のうえ調理してください」などと当たり障りのない対応をしてお茶を濁すのが常だ。
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