「イオンでウォーキングする」文化は流行るのか? 実際に体験して「厳しそう」だと感じたワケ(3/6 ページ)
ウォーキングする場所といえば、公園や遊歩道を思い浮かべる人が多いだろう。こうした中、ユニークな場所でウォーキングすることを推奨する動きがある。イオンモールの中をウォーキングする、その名も「イオンモールウォーキング」だ。
イオンモールウォーキングは売上増に貢献する?
実際にやってみると、イオンモールウォーキングは消費者にとってメリットが多いことが分かる。一方で、イオン側にとっての「旨み」はどこにあるのだろうか。
同社によれば、これは売り上げ増加が目的ではない、いわゆる「CSR(企業の社会的責任)」的な観点での取り組みだという。だが、イオンモールウォーキングにはイオン側が得をすることも多いと思われる。以下、イオンモールウォーキングの利点を3つに分けて説明していこう。
1つ目は売り上げの増加で、特にモール内を歩くことによる買い周り需要が期待できることだ。前述の通り、普段の買い物ではどうしても行動範囲が決まってしまうが、ウォーキングコースを設定することによって、これまで気に掛けていなかった店や商品との出会いがある。道中にたくさん置いてあるカプセルトイやマッサージ機など、何気ない出費が増える可能性も大いにあると感じた。
さらに、集客の増加も見込める。イオンモールウォーキングを開始する前、イオンが弘前大学と共同で取り組んだ実証実験では、イオンモールウォーキングが「来店動機」を促進することが証明されたという(日経クロステック 2015年7月29日)。また、イオンとともに歩行環境の研究を行っている名城大学の中村一樹准教授は、以下のように指摘する。
『日常生活ではなかなか歩けない人たちが意外と高い歩行意欲を持っているということです。(中略)歩いて行ける場所が少なかったり、歩いていても車が多くて危険だったり、歩いても楽しくなかったり、というようなことがよくあります。(中略)歩くという視点で見ると、買い物する場所、特に建物内は利点が多いですよね』(名城大学 産官学連携・研究支援サイト 2023年1月31日)
つまり、モール内という安全な環境下だからこそ、「わざわざ歩きにいく」という人が存在するのだ。そうした人が「歩くため」にモールを訪れることで、結果的に客数の増加につながる。
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