新興チューリング、完全自動運転AI実現へ 専用計算基盤「Gaggle Cluster」とは?
生成AIを活用した完全自動運転車両の開発に取り組むチューリングは、完全自動運転を実現するための専用計算基盤「Gaggle Cluster」(ガグルクラスター)の運用を開始した。
生成AIを活用した完全自動運転車両の開発に取り組むTuring(チューリング、東京都品川区)は、完全自動運転を実現するための専用計算基盤「Gaggle Cluster」(ガグルクラスター)の運用を開始した。同基盤を活用して独自の自動運転AI「TD-1」も開発。2025年に都内の一般道を人間の介入なしで走行できる自動運転AIの実現を目指す。
10月30日に都内で記者会見を開いた山本一成CEOは「人が運転するよりも圧倒的に安全な車を作るのがわれわれの使命だ。先頭集団についていきたい」と実用化に強い意欲を示した。
NVIDIAの最先端半導体「H100」のGPUを搭載 その“威力”とは?
Gaggle Clusterでは、NVIDIAの最先端半導体「H100」のGPU「NVIDIA H100 GPU」を96基搭載している。NVIDIA InfiniBand/NDR400を用いたネットワークにより、大規模AI学習によって複数のGPUを同時に使用する際にボトルネックとなっていたサーバー間の通信速度の制約を最小化している。
また、All-Flash分散ストレージを採用することによって分散学習における性能を最大限に引き出し、クラスタ全体を「単一の計算機」として大規模な深層学習タスクに最適化させた。
チューリングはGaggle Clusterを活用して独自の自動運転AI「TD-1」を開発。10月から走行試験を開始している。TD-1はチューリングが取り組む、2025年12月までに人間を介さない自動運転のできる車を東京都内の路上で30分間走らせる「Tokyo30」プロジェクト実現のための自動運転AIだ。カメラ映像のみを入力し、周辺地図、車両や歩行者の認識、自身の運転操作までを単一のTransformerモデルで出力する。
Gaggle Clusterは、自動運転AIの開発だけでなく生成AI開発にも活用しているという。8月には自動運転向け生成世界モデル「Terra」を、9月には自動運転向けVLAモデルデータセット「CoVLA Dataset」を発表した。
Gaggle Clusterの構築には、NTTグループの支援があった。NTTPCコミュニケーションズは、GPU計算基盤における高速通信技術やストレージ設計に関するノウハウを活用した「GPUプライベートクラウド」でGPU計算基盤を提供。同基盤の構築をサポートした。
NTTドコモ・ベンチャーズは、完全自動運転の革新性に注目。チューリングが運用するファンドを通じて出資した。
チューリングは、現実世界の物理法則や物体間の相互作用など、複雑な状況を理解した上で高度な判断が可能な自動運転システムの開発を進めている。Gaggle Clusterの稼働により、複数のモデルの開発をより強力に推し進め、完全自動運転の実現に向けた取り組みを加速していく。
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