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「データ重視」でWeb流入3倍に アステラス製薬のMRが挑んだCX改革アドビが聞く「実践! CX改革」(2/4 ページ)

優れたCXを実現すれば、顧客満足度を向上させるだけでなく、ブランドの差別化や優位性を確立させ、どんな状況でも「選ばれる」存在へとなることができる。アステラス製薬はコロナ禍でパーソナライズを中心にしたCX改革を進め、それまでバラバラだったデジタルチャネルと営業チャネルの連携を実現。メールからのWebサイト来訪率を約3倍まで伸ばしたほか、営業に渡すホットリードのインサイトの質、数を大きく向上させたという。

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「パーソナライズ」に注力 “ガイドブック”のようなサイト作り

松井: 営業・マーケティングのデジタル改革において「Astellas Medical Net」はどのような位置付けにあるのでしょうか。

大石: 大前提として、日本では医療用医薬品の情報について製薬会社から医療関係者以外の一般人へ直接伝えてはならないと薬機法で定められています。そこでWebサイトでは必ず「あなたは医療従事者ですか」と許諾を取り、そこをクリアした方のみに対し、医薬品の詳細や周辺疾患に関する情報を提供しています。

 多くのWebサイトがそうだと思いますが、目的に沿った体験が完了したら訪問者はWebから離脱してしまいます。医療用医薬品の情報サイトならなおさらで、私どもも「これではまるで辞書だよね」と言っていました。

 そこで当社は、「辞書ではなくガイドブック的な位置付けにしよう」と打ち出して取り組んできました。例えば旅行のガイドブックは周辺情報を全部網羅しているので、旅行の参考になることがたくさんありますし、新しい発見もあります。「Astellas Medical Net」もコンテンツをリッチにすることで、訪問者が離脱せずに「あれも面白そう、これも面白そう」と回遊できるようにしたいと考えました。

 ただ、コンテンツの充実に関してはほかの製薬会社も注力していています。そのため、コンテンツの充実ももちろんですが、他社との差別化を含めたデジタルチャネル全体の体験向上に向け、パーソナライズに注力しようと決めました。

松井: なるほど、だからパーソナライズが大切なんですね。

大石: そうなんです。それに以前はWeb分析も最低限のことしかやっていませんでした。聞いた話では、PV数と訪問者数しか把握しておらず、課題の特定もできていない状態だったそうです。分析作業は外部に委託していたので、スピード感もありませんでした。こうした背景があり、CMS、データ分析、パーソナライゼーション、データ基盤を整備し、デジタルマーケティングと営業をつなぐMAがシームレスにつながるソリューションが必要でした。

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