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1億総スカンの「流行語大賞」 それでもユーキャンは辞めないワケ(3/5 ページ)

なぜこれほどに「ふてほど」だったのか。

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ユーキャンの事情も影響か

 生活者の実感と乖離している背景に、スポンサーであるユーキャンが「自社ブランドへの影響」を意識していることもあるかもしれない。

 確かに、地面師も闇バイトも「犯罪に関連する言葉」である。流行語大賞の歴史を振り返っても、実は犯罪や疑惑などネガティブに関連するワードが選出されることはごくごくまれである。

 ユーキャンという企業のイメージにネガティブな影響を及ぼすことを避けた結果として、それらのワードが選ばれなかったのではないかと推測される。

 しかし、それにしてもここ数年の「安定思考」はいかがなものか。次の表は直近20年の流行語大賞をまとめたものである。


直近20年間における、流行語大賞を受賞した言葉(wikipediaより著者作成)

 この表の中で特に目立つのは、2017年ごろを境とした「テーマの選択基準」の変化ではないだろうか。

 2000年代から2010年代前半の流行語大賞は、政治や社会的なトピックに関連する言葉が多く選ばれていた。例えば、2005年の「小泉劇場」や2009年の「政権交代」は、日本の政治情勢を象徴するものであり、社会的議論を活性化させた。同様に、2014年の「集団的自衛権」や2017年の「忖度」も政治的な問題を背景にした受賞語だ。

 しかし、このような社会的なテーマは2018年以降、急激に減少している。そして、全体の傾向としてはお笑い芸人の持ちネタが選出されにくくなり、スポーツに関連する話題が受賞するケースが増加している。

 この表からは、審査員のユーキャンに対する“忖度(そんたく)”も見え隠れする。うがった見方をすれば、通常のCM起用では莫大(ばくだい)なギャラが必要な有名スポーツ選手を、「流行語大賞」という称号を与えるだけでユーキャンのプロモーションに呼べるという「戦略」もあるのではないだろうか。

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