1万円超え「諭吉コスメ」改め「栄一コスメ」の支持続く 節約志向で高まる「化粧は投資」の考え方(2/2 ページ)
物価高による節約志向から、落ち込みも予想された化粧品市場。しかし、美容系総合ポータルサイト「@cosme」を運営するアイスタイルによると「日本は物価高の影響はあったものの、比較的活気があった」という。背景にはあるメークアイテムの躍進があった。
化粧崩れするから「薄いメーク」がいい
近年、猛暑は激しさを増し、その期間も長期化する傾向にある。この暑さによって、メークする人は汗や湿気による「化粧崩れ」と、紫外線による「肌へのダメージ」という2つの悩みを抱えている。
化粧崩れに対する悩みの声はこれまでもあり、それに対応するアイテムも存在していた。そこに大きな変化をもたらしたのがコロナ禍だった。「コロナ禍でマスクが必須になると、マスクで蒸れたり擦れたりして化粧が崩れる『マスク崩れ』が日常になった。その結果、『メークは結局崩れるもの』という新しい常識が生まれた」(@cosmeリサーチプランナー)
メークが崩れることが前提になると、選ばれるアイテムも変化する。シミや赤みなどを隠せるカバー力が高いアイテムから、色やカバー力が強すぎず、素肌を生かすような薄づきのアイテムが選ばれるようになったのだ。@cosmeリサーチプランナーは「カバー力が高いと、その分取れたりよれたりした部分が目立ってしまうデメリットがある。薄づきのアイテムならば、薄く色が付く分、取れたりよれたりした部分が目立ちにくい」と説明する。
こうした崩れにくいメークは、化粧下地やファンデーション、コンシーラー、フェイスパウダーなど顔の広範囲に使用するベースメークアイテムが重要となってくる。また、肌のダメージをケアすることにも、ベースメークアイテムは大きな役割を果たしている。
「夏の肌ダメージを軽減するため、日焼け止め効果の高いけれども刺激が少ない化粧下地や、美容液成分が入ったファンデーションが選ばれる傾向にあります」(@cosmeリサーチプランナー)。このような機能性と美容効果を両立するアイテムは高価格商品であることが多い。そのため、高価格なベースメイクアイテムが多数ランクインしたのだ。
化粧品業界では1万円を超える高級品のことを、「諭吉コスメ」(旧1万円札の福沢諭吉に由来)と呼んでいる。2023年の調査でも、諭吉コスメの存在感が増したことが話題になった。今年7月から新札が本格的に普及し、1万円といえば福沢諭吉から渋沢栄一というイメージに移行しつつある。来年からは諭吉コスメ改め、「栄一コスメ」という言葉が生まれるかもしれない。
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